都の学校カウンセラー「250人雇い止め」の衝撃 学校や保護者から評価高く、経験豊富なSCが…

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一方で今回雇い止めになったSCは会計年度任用職員に移行される前から、特別職非常勤職員として10年、20年と再任用を繰り返してきたベテランも少なくない。このため多くが「公募になることは知っていた。でも、これまでの実績がなかったことにされるという認識はなかった」と話す。

総務省の通知は再任用について「前の任期における勤務実績を考慮して選考を行うことは可能」としており、SCらが自身の実績も選考基準に含まれると考えたとしても、やむを得ない面がある。これに対する都教委の説明は果たして十分だったといえるのか。

SCたちが「勤務実績が評価されない選考こそ不公平だ」と訴える一方で、都教委の浜佳葉子教育長は2月下旬の都議会で「選考は公募により公平、公正に実施した」という旨の答弁を繰り返した。

ベテランのSCほど雇い止めに?

果たして選考は本当に公平、公正だったのか。

労働組合・心理職ユニオンがX(旧Twitter)とはがきの郵送によるアンケート調査(回答数728件)を実施したところ、勤続年数別にみた雇い止めの割合は、「1〜5年」が7.2%なのに対し、「6〜10年」は30.7%、「11〜15年」は32.0%、「16〜20年」は35.8%と、年数が長いほど高い傾向があることがわかった。

また、年代別では、「30代」が21.3%、「40代」が21.5%、「50代」が32.6%、「60代」が31.0%と、ほぼ年代に応じて上昇していることが判明。勤続年数が長く、年齢の高い「ベテラン」が雇い止めの中心となった可能性があると、同ユニオンは指摘する。

実際、今回はどのようなSCが雇い止めにされたのか。

菅原昭子さん(仮名、60代)は自身の臨床心理オフィスを構えるほどのキャリアを持つが、今回、勤続26年にして“クビ”を宣告された。「これまで当たり前に更新を繰り返してきたんです。今回は公募になるとは聞いていましたが、それまでの実績がゼロにされるとは想像もしていませんでした」と途方に暮れる。

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