ジム・ロジャーズ「日本経済は歴史的に見て異常」 人口減少と負債増加が同時に起きているヤバさ

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ぜひとも日本の今の若い人たちには、歴史を勉強してもらいたい。日本国内の状況だけに目を向けるのではなく、経済史や世界史を読めば、35年もの間続いた低金利政策が、ふつうではなかった、というより明らかに“異常”であることに気づくからだ。

人口減少と負債増加が同時に起こるのは致命的

長期的なゼロ金利政策は、特に人口減少と負債増加という悪影響を及ぼす。そして今の日本ではこれらの悪影響を相殺するほどの繁栄は見られない。何かが変わらない限り、状況はさらに悪化する可能性があるだろう。

ゼロ金利政策が、日本経済ならびに日本人にどのような悪影響を及ぼしているのか、具体的に見ていこう。

まずは、これまで私が日本について言及する際にたびたび触れてきた問題、人口減少だ。日本の人口は20年間減少し続けている。15年以上も人口が減少し続けている国は、歴史的に見ても珍しい。

特に、世界的に先進国と呼ばれ、繁栄している国で、このような現象が起きているのは異例だ。

同時に、急速なスピードで高齢化が進んでいるのも問題だ。合計特殊出生率も下がり続け、2023(令和5)年には1.20にまで落ち込んでおり、労働人口の減少も同じく継続的に起きている(下図参照)。

合計特殊出生率とは、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したものであり、一人の女性が一生の間に産む子どもの数と考えていい。なおアメリカの合計特殊出生率は「1.7」の近辺をここ数十年推移しており、フランスやイギリスも近しい数値だ。

このままの状態が今後も続けば、日本の人口は21世紀末ごろには半数近くにまで減ることは明らかだ。

社会保障の問題も非常に深刻だ。人口が減少するということは、税金や社会保険の担い手が減る、ということでもあるからだ。そして当然だが逆に高齢者が増えていけばいくほど、彼らの生活や社会福祉を賄うために、多くの労働者が必要になる。

このように日本では、高齢者をサポートする年金など、各種社会保障サービスの原資を生み出す人が圧倒的に足りていない。そしてここからがより深刻な問題だが、この先も悪化の一途をたどっていくことが、データとして出ている。

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