2025年に日経平均株価は最高値を突破しそうだ トランプ次期政権は日本株にマイナスではない
投資の指南書などでは必ずと言ってもよいほど「株式はインフレに強い」と記述されている。1990年代半ばから2021年ころまで30年近くインフレが発生しなかった日本では、インフレヘッジとしての株式保有はあくまで「教科書の中の理屈」であり、現実離れした教科書的な教えにすぎなかった。しかしながら、ここ数年、日本がインフレを経験してようやく「現実」へと昇華した感がある。
GDPの実質と名目の乖離が意味するもの
インフレについては、消費者物価上昇率が日銀の物価目標である2%を大幅に超過した状態にあることもさることながら、GDP(国内総生産)が象徴的な動きとなっている。11月15日に発表された日本の2024年7~9月期GDPに目を向けると、物価変動の影響を除いた実質成長率は前期比年率プラス0.9%と、2四半期連続でプラスだった。
内訳を見ると、外需が足を引っ張ったものの、定額減税、名目賃金の増加などによって個人消費が予想以上に伸び、金額は559兆円に達した。もっとも、この水準は直近ピークである2023年4~6月期の563兆円を0.8%下回っており、この間はおおむねゼロ%成長という評価が妥当になる。他方、名目GDPは前期比年率プラス2.1%と2四半期連続で増加し、金額は611兆円と過去最高を更新。水準は2023年4~6月期を2.6%上回っており、「名目と実質」の乖離が鮮明になっている。
この名目と実質の乖離を説明するのはGDPデフレータである。伸び率は前年比プラス2.5%となり、2022年10~12月期以来8四半期連続の上昇となっている。
「付加価値の単価」とも言うべきGDPデフレータの拡大は、名目値の企業収益が膨らむことを意味する。GDPが付加価値、すなわち企業の粗利益に近い概念であることを踏まえると、名目GDPが増加する局面で企業収益が拡大するのは当然と言える。名目GDPと企業業績および株価に長期的な連動性が確認できるのはそのためだ。
実際、名目GDPが停滞した1990年後半から2010年代前半にかけて株価はレンジ相場を形成し、名目GDPが拡大基調にある中で日経平均株価は4万円の大台を回復した。ここ数年の株価は明らかにインフレの追い風を受けており、その点において実体経済の裏付けを伴っていると言えるだろう。こうしたインフレの追い風は2025年も吹き続ける。
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