2025年に日経平均株価は最高値を突破しそうだ トランプ次期政権は日本株にマイナスではない
トランプ氏がFEDに罵声を浴びせると、金融市場では短期ゾーンを中心に金利低下・ドル安の反応がみられるのではないか。こうしたアメリカ金利低下、ドル安・円高はアメリカ株に追い風となる反面、製造業が約6割を占める日本株(TOPIX、日経平均株価)の頭を抑える公算が大きい。
そしてアメリカ株高にも注意が必要であろう。筆者が注目するのは実質金利とPER(株価収益率)の乖離だ。相場格言というほどではないが、「債券と株式が食い違った場合、間違っているのは株式」とよく言われており、それを前提にすると、現在の高PERには違和感を禁じ得ない。
日本株に備わる「景気循環とは無関係の増益要素」
FEDの金融引き締めに伴い実質金利が上昇するのをよそに、PERが上昇してきた背景として最も重要なのは、利上げ期間中ですら、将来の利下げが強く意識されてきたことであろう。FEDが示すドットチャートは見通し期間の後半にかけて利下げが示唆される形状であったので、株式市場で利下げが前提にされるのは、ある意味で合理的であったと言える。
例えばFF金利(誘導目標レンジ上限)が5.00%に引き上げられた、2023年3月FOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)で更新されたドットチャートは2023年末の中央値が5.25%、2024年末が4.375%、2025年末が3.25%と右肩下がりであった。また、これとは別の視点で、昨年ごろからトランプ氏の再選が意識されていた面もあるだろう。
法人税率の引き下げなど、EPS(1株当り純利益)拡大に直結しうる政策を掲げる同氏が大統領選で勝利するなら株高を予想する投資家は多かった。それを見込んで2%の実質金利と22倍程度の予想PERが共存してきた形だが、今後、FEDの利下げ観測が一段と後退したり、トランプ次期政権の舵取りが景気拡大につながらないとの疑念が生じたりすれば、高PERは許容されなくなるのではないか。
このように2025年の日本株を取り巻く環境は必ずしも薔薇色ではない。ただし、引き続きインフレの追い風が吹くなかで、日本企業は「資本効率の改善」という景気循環に直接関係のない増益要素もある。もしアメリカ株が大崩れしなければ、2025年の日経平均の最高値更新は可能だろう。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら