塩田 この場面で党支部に交付金を支給すれば、批判が噴出して、選挙結果に悪影響が出るのでは、という懸念はなかったのですか。
森山 支部としての活動を盛り上げていただけるだろうと思っていました。政党活動に対してご批判があって、それで選挙に負けるということになると、政党活動そのものが非常に厳しくなります。正しい政党活動は、しっかり説明しながらやっていくというのが党の基本的な考えでなければならないと思います。
塩田 衆院選の結果は、選挙前に「勝敗ライン」と位置づけた「自公両党で過半数維持」の目標を大きく割り込み、与党過半数割れ、少数政党並存という事態を招きました。
森山 責任は感じています。しかし、申し上げたとおり解散・総選挙をやらずに年を越して補正予算も組めなかったとしたらどんなことになったか、それも考えないといけない。
塩田 民主主義の常識では、国民が自民党と石破政権に対して明確に「不信任」の審判を下したと見るべき事態が生じました。現実には石破首相も森山幹事長も在任・続投となりましたが、選挙結果を受け止めて、辞任や交代という考えにはなりませんでしたか。
森山 責任を果たそうと思いました。出た結果に対して責任を果たしていく。一番大事なことは政治に混乱を起こさないことだと思います。私は党の幹事長として、十分に配慮していかなければなりませんし、総理も同じ気持ちでやっておられると思います。
塩田 当面は在任して責任を果たすとして、近い将来、衆院選後の政治的な混乱が収まった段階で、改めて進退について決断されることはありませんか。
森山 総裁から任命されているので、総裁のご指示があれば、いつでも私は対応しなければならないと思っています。
野党の声を聞くのは当たり前
塩田 自民党は衆院選で大敗しましたが、反面、負けて、自民党が弱くなったときの幹事長には、与野党で信頼感が高く、幅広い人脈ネットワークを持つ森山さんほど、打ってつけの人はいないのでは、という感もあります。
森山 そんなこともないです(笑)。私は党の国会対策委員長のときから申し上げてきましたが、国会は主権者である国民から正しく選ばれてきた人で構成されています。野党の意見は聞かないということではなく、できるだけ意見を聞き、与党として取り入れることができれば、そうやっていくのが当たり前のことだと思います。
塩田 自民党では今、派閥は休眠状態です。今後はすべての派閥が解消の方向を目指すことになると思いますが、政党は人間の集まりですから、人的なつながりから政策集団として存続する可能性があります。本当に派閥解消を実行していくのですか。
一方で、政策集団として残ったとしても、派閥解消で足腰が弱くなり、自民党は選挙では苦しくなるのでは、という心配もあります。
森山 派閥解消をやってきたわけですから、従前の派閥がやってきたことは、党がやらないといけない。
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