「AIシフト」がもたらしたインテルCEOの退任劇 半導体産業の構造変化がもたらす地殻変動
すなわち、最先端の半導体製造技術を開発するキャッシュフローを生み出すエンジンは圧倒的にAIチップになっていくということだ。
こうした市場背景をもとに見直してみると、データセンター向けAIチップ市場で70%のシェアをもつNVIDIAに注目が集まるのは当然だが、パソコン向けプロセッサでインテルのライバルであるAMDも、Microsoft AzureやOracle Cloud Infrastructureへの採用を実現して15%のシェアを稼いでいる。インテルのシェアは5%以下だ。
見通しが良い側面と見通しの悪い側面
このように考えれば、インテルの苦境も致し方ない。
TSMCのように成熟しグローバルでトップの実力を備えたファウンドリ事業者には、世界中の先端チップの受注が集まる。つまり経験値が極めて高くなるが、そのTSMCと同等の高い歩留まりや効率的な設備運用で収益性を高め、存在感をまったく示せていないAIプロセッサ市場が急成長している中での巨額投資を正当化することは難しかったのだろう。
今後、主戦場が変化していく中、パソコン向けプロセッサとに関しても、力関係が変化していくことは十分に考えられるだろう。当面の間インテルがパソコン向けプロセッサーの主役から滑り落ちることはないだろうが、中長期的にはAMDなどとの関係が変化する可能性はある。
また、言うまでもなくWindowsパソコンもArmへの対応が進められており、ソフトや環境の面でもだんだんとインテルへの依存度は下がっていく可能性が高い。まだ始まったばかりの業界の地殻変動は、これからより一層激しくなっていくだろう。
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