自衛隊「ミサイル大量購入」が予算消化に過ぎない訳 「防衛予算をどう使うか」の末に決められた購入計画

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第3は、発射手段がなくなるという問題である。ミサイルの大量購入は将来に起きるかもしれない戦争に備えたものだ。ただ、まさに戦争が起きたときに、搭載する護衛艦や戦闘機があるのか疑わしいミサイルがある。

具体的に言えば、対空ミサイルのうちのAAM-4と23式SAMだ。敵国攻撃用の潜水艦誘導弾も怪しい。

発射すべきときに発射できない

AAM-4はF-2戦闘機とF-15戦闘機用の空対空ミサイルだが、近いうちにこれら搭載する戦闘機がなくなる。F-2は機体構造の寿命から2030年過ぎ、F-15も性能とコストの問題から、おそらくは同時期に退役が始まる。

その後に、搭載機が登場する見込みも立たない。導入中のF-35戦闘機はAAM-4に未対応である。日英伊の3カ国共同開発の新戦闘機は完成するかわからない。仮に完成するとしても、納期がいつになるのかまったく見えない。計画では2035年配備となっているか、今までの例からすれば10年や20年は遅れる。

23式SAMは搭載艦を公表しないという不思議さがある。正式名は「23式艦対空誘導弾」であり護衛艦用の対空ミサイルであるが、どのタイプの護衛艦に搭載するのかは未公表だ。

これは、実は海自が搭載を嫌がっている可能性がある。彼らは日本製ミサイルがアメリカ製には及ばないことを知っている。だから国産を遠ざけようとしているようにも見える。

本当にほしい対空ミサイルは、アメリカ製のESSMブロック2だ。最も重要な超低空目標の迎撃では間違いなく優れており、近いうちに対艦攻撃モードも追加される。将来の改修キットが提供されるのも間違いない。

それからすれば、23式SAMの搭載艦は1、2隻にとどめる可能性もある。防衛省が開発したため、不採用ということは難しい。だから形ばかりの搭載艦を用意して採用したという体をとるだろう。そのうえでESSMブロック2の搭載を進めて国産品を事実上葬るやり方である。

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