「微アルで適正飲酒」推進の裏にある不都合な現実 もはや、メディアに踊らされているにすぎない

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調査会社インテージによると、缶チューハイ市場でアルコール度数8%以上のストロング系の商品のシェア(占有率)は、2017年に金額ベースで43%だった。それが、2023年には25%程度に低下してしまったという。

ストロング系
筆者はアルコール依存症と診断された過去を持つ。「酒が悪い」「メーカーが悪い」というスタンスではなく、自身に関しては「自分の甘さ」が招いた出来事だと考えているが、酒との付き合い方についての啓蒙活動はしていくつもりだ(筆者撮影)

代わりに微アルと低アルがそのお株を奪っているのかというと、まだそのようなデータは出ていない。ただ、アサヒの推計では、アルコール度数0〜3.5%の飲料の国内販売容量は、2026年に2019年比で1.3倍に伸びる見通しだという。急成長……とまではいかないかもしれないが、緩やかに拡大しているようだ。

ところで、「低アルの缶チューハイは飲んだことがあるが、微アルはまだ」という読者も多いだろう。ビールテイスト飲料は発売からまだそれほど時間が経っていない商品であり、商品数も多くはないため、まずはこれらの概要を紹介したい。

酒税法における「酒類」は度数1%以上となるため、ビアリーやザ・ドラフティは「清涼飲料水」(炭酸飲料)に分類される。つまり、「お酒」ではないわけだが、アルコールは含まれているため、飲んで運転すれば飲酒運転に当たり、飲みすぎると酩酊する可能性もある。ノンアルコール(以下、ノンアル)ビールとはワケが違う。

また、製造方法も異なる。一般的に、ノンアルビールは調合技術でビールに近い味を作るのに対し、例えば、ビールテイスト飲料の代表格であるビアリーの場合は麦やホップなど100%ビール由来の原料でビールを一度醸造してから、アルコール分のみを取り除いているという。そのため、ビールのような麦の旨みとコクは残っているのだ。

ビアリーの写真
右上がビアリー。低アルコール飲料などと並んで置かれていることが多い(筆者撮影)

こうした微アルのビールテイスト飲料が登場したのは、コロナ禍真っ只中の2021年である。ビアリーは3月、ザ・ドラフティは9月に発売開始された。この頃は東京五輪の前後で新型コロナウイルスの感染者が爆発的に増えていた時期と重なる。

つまり、「ステイホーム」や「外出自粛」に合わせて酒類メーカーが新商品を展開してきたのかと思いきや、ビアリーは開発に3年、ザ・ドラフティは2年もかかったことから、コロナとは関係なく、純粋にストロング化していくRTD市場に新たな一手を投じたものと考えられる。

微アル&低アルが持て囃されるのは、時代への反動?

ただ、コロナ禍に登場したこともあり、冒頭で紹介した「適正飲酒」や、あえて飲まない「ソバーキュリアス」という考え方、さらにお酒を飲む人と飲まない人が尊重し合える社会を目指す「スマートドリンキング」などの理念と共に、微アルと低アルが持て囃されている。そういった言説を、CMや電車広告等で目にするようになった。

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