「働きやすい菓子店」が投げかける日本の大問題 従業員は全員女性「ロミ・ユニ」がしていること

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株式会社romi-unieとして独立したのは、2007年。1年後には東京・学芸大学に焼き菓子とジャムの店を開く(2024年6月に閉店)。焼き菓子の製造販売はこのときからで、めずらしい焼き菓子専門店と注目される。

鶴岡八幡宮の表参道に面している店舗(撮影:梅谷秀司)

スタッフは立ち上げ時の2004年から女性のみだが、それは人を募集したら自然に女性ばかりが集まったからだ。その間、社会保険制度も変わった。2000年には育休中の厚生年金保険料の事業主負担分が免除され、2012年には産前産後休暇の本人および事業主の負担が免除される。中小企業の事業主に重い負担だった、休暇中のスタッフの社会保険料免除は、同店が多様な働き方を受け入れる後押しになった。

正社員ともパートともキャリアについて話す

11月現在、20〜50代の従業員の雇用形態はさまざまだ。正社員21人のほかに、130時間以上働き社会保険に加入する契約社員が4人、扶養の範囲内で月20時間未満働くサブ・パートタイマー14人、月20時間以上働くパートタイマーが2人いる。育休中や時短勤務中の従業員もいる。

めずらしいのは社員、パートにかかわらず全従業員がいがらし代表と年1回、キャリア面談を行うこと。その話し合いの中で働き方を見直す人がいれば、立場を変える人もいる。管理する側は大変だが、できる限り求める働き方を受け入れているからこそ、ロミ・ユニは、女性が働き続けられる会社になっているのだ。

同店で働きたい人の面接も、いがらし代表が行う。大勢と会ってきた経験から、いがらし代表は、時代の変化と変わらなさの両方を体感しているという。

まず女性たちの認識が、大きく変わった。「今は基本、働くのは当たり前。子どもを育てながら、自分も成長したいと言うのですが、それは無理。子どもを産む前に自分の仕事が確立していないと、と思います。子育て中は自分のことなんて考えていられないから、と諭しているんです」。

いがらし代表自身が2010年に出産しており、自身の体験からも「子育てしながらの仕事は、時間の余裕もなくメンタル面も体力面もすごく大変。自分がどう働いて、どのような人生を送りたいか考えることが必要、と思います」と語る。

「保育園は365日営業にして欲しい。女の人が力を発揮でき、実際に働く人が多いのがサービス業だからです。サービス業が忙しい土日祝日に預けられないなんて、意味が分からないんですが、誰もそれを指摘しない」と語るいがらし代表(撮影:梅谷秀司)
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