カフェ、コンビニが問われる「脱使い捨て」の責任 グリーンピースがごみ大量排出の実態を解明

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ファミリーマートはグリーンピース・ジャパンが推計したカップの使い捨て総量について、「(先方が)独自に集計した数値であり。実際の数値とは乖離がある」とする。

そのうえで「容器包装における環境負荷軽減への対応は、非常に重要であると捉えている。当社のオリジナル商品は、紙などの代替素材や植物を原料としたバイオマスプラスチックなど環境負荷の少ない素材への切り替えを進めている」(ファミリーマートの広報担当)という。なお、リユースに関する言及はない。

コンビニの国内総店舗数で業界3位のローソンは、これまでリユースに取り組んできた。2022年4月から今年2月までの間、前出のRe&Goの仕組みを活用した、リユースカップでの提供の実証実験に都内の延べ約20店舗が参画してきた。

これは、対象とする店舗で入れたての珈琲を注文すると、リユースカップで提供し、利用後に好きな対象店舗で返却できるといった仕組みだ。しかし、ローソンの一部店舗での実証実験は2024年2月で終了した。

今後のリユースの推進についてローソンは、「お客様、加盟店の皆さんのご理解とご協力も必要であり、引き続きステークホルダーとともにさまざまな取り組みにチャレンジしていく」としている。

リユースは環境負荷低減につながる

記者もこれまで、スターバックスの店舗で「借りるカップ」を何度か利用したことがある。返すときに多少の手間がかかるといったことはあるが、ごみが出ないのが気持ちいい。ステンレスの容器は保温性があり、デザインも優れている。職場などでこうしたリユースの選択肢が増えていけば、ごみの削減にもつながる。

今回、グリーンピース・ジャパンは、使い捨てカップとリユースカップの環境負荷についても試算した。

「40店舗でリユースシステムを導入し、年間3万カップの利用を想定。1日当たりの1店舗のテイクアウト飲料数200個」などの条件を設定し、比較したところ、「1カップ当たりのCO2換算排出量は45%減、水の使用量は32%減、化石燃料の消費量は48%減」などという試算結果となった(1日のテイクアウト飲料のうちの20%をリユースカップで提供し、使い捨てカップと比較した場合)。

したがって、前出の大舘氏は、「リユースカップの使用は、環境負荷低減の面でも非常に意義がある」と強調する。

今回、グリーンピース・ジャパンの報告書を監修した国立環境研究所の田崎智宏・資源循環社会システム研究室室長は、「大量プラスチック消費社会の現状を考え直すきっかけになる」と評価する。

日本は世界屈指のプラスチックごみ排出大国だ。国連環境計画の報告書(2018年6月)によれば、日本の1人当たり容器包装プラスチックごみの排出量は、アメリカに次ぐ世界第2位。国内だけでは処理しきれず、プラスチックごみの多くを東南アジア諸国などに輸出している。

他国にごみを押しつけることなく、日本に住む私たちが使い捨てから脱却することは、世界の環境問題解決にもつながる。そのためにも、リユースに目を向け、取り組む必要がある。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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