カフェ、コンビニが問われる「脱使い捨て」の責任 グリーンピースがごみ大量排出の実態を解明

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筆者が調べたところ、スターバックスの都内のある店舗ではメニューの数が60以上、タリーズの都内の店舗でも40を上回っていた。メニューの数の多さや客の回転率の高さ、洗い場の狭さも、リユースの取り組み強化を妨げる要因になっていることがうかがえた。

もちろん、カフェチェーンが手をこまぬいているというわけではない。スターバックスの多くの店舗では、冷たい飲み物を繰り返し使える樹脂製グラスで提供するようになっている。2023年2月から東京・丸の内、銀座、京都府、静岡県など約100店舗で先行導入し、現在は全国の約1800店舗で提供しているという。

こうした取り組みの成果を裏付けるように、グリーンピース・ジャパンの調査でもスターバックスの店内でのカップのリユース率は2022年の8%から2023年には41%に高まった。

運営会社のスターバックスコーヒージャパンによれば、「店内アイスビバレッジ用の樹脂製グラスでの提供により、導入から1年で使い捨てカップやふたなど約482トンの廃棄物削減につながった。導入当初は1年で約100トンの廃棄物削減を見込んでいたが、目標を大きく上回る成果となった」という。

ただ、取り組みをさらに進めるには、リユースを標準に据える必要がある。グリーンピース・ジャパンの2024年の調査結果ではスターバックスの店内でのリユース率は前年の41%から24%に低下した。

対象とした店舗に違いがあるため、取り組みが後退しているとまでは言い切れないが、足踏みしている可能性がある。実際、冷たい飲み物については何も尋ねずに使い捨てカップで提供する店がいまだに少なくない。

取り組みが遅れているとの指摘にタリーズの回答は?

グリーンピース・ジャパンの調査によれば、タリーズの店内飲食におけるリユース比率も2023年の12%から2024年には7%に低下した。スターバックスと比べてもリユース率は低く、取り組みの遅れが目立つ。

グリーンピースの推定結果についてタリーズの広報担当者は、「実際とは異なる」とし、「リユース率は大きく向上しているとは言えないが、少なくとも後退はしていない」と反論する。そのうえで「(店内飲食では)マグカップ、グラスマグの利用の促進に努める」と回答した。

東京都内のタリーズコーヒーの店舗。同社では「新たなリユースの仕組みを導入すべく、準備をしている」という(記者撮影)

プロントでは2024年の店内飲食のリユース比率は42%と3チェーンのうちでは最も高い。しかし、ドトールコーヒーショップやコメダ珈琲店の各77%、100%(2022年調査)と比べると見劣りする。というのも「プロントでは、店内で冷たい飲料を提供する場合にプラスチックの使い捨てカップが主流となっているためだ」(大舘氏)という。

こうした指摘の当否について、運営会社であるプロントコーポレーションは直接の回答を避けている。そのうえで「引き続き、環境に配慮した資材の採用などに取り組む。発表できる取り組みや成果が出てきたら、改めてお知らせする」(広報担当)という。

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