NASAで起こった「最悪の事故」から学ぶべき"教訓" なぜ「100年に一度の出来事」が頻繁にあるのか

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イヴリン・マリー・アダムスは、1985年、ニュージャージー州の宝くじで390万ドルを獲得した。その4カ月後に再び当選し、さらに140万ドルを手にした。アダムスは『ニューヨーク・タイムズ』紙にこう語った。

「もう宝くじは買わないわ。ほかのみんなにチャンスをあげたいから」

これは当時大きな話題となった。というのも驚いたことに、コンピュータの複雑な計算によると、宝くじに2度も当選する確率は、なんと17兆分の1だったからだ。

しかし3年後、パーシ・ダイアコニスとフレデリック・モステラーという2人の数学者が、この熱狂に冷や水を浴びせた。

もし、宝くじを買うのが1人だけの場合、2回当選する確率は、確かに17兆分の1になる。

しかし、アメリカなどのように1億人が毎週宝くじを買う場合、誰かしらが2回当選する確率はかなり高くなる。ダイアコニスとモステラーは、それを30分の1と計算した。

この数字が大きなニュースになることはなかった。

「一生に一度レベル」は定期的に起こる

「充分な数のサンプルがあれば、どんなとんでもないことだって起こりうる」とモステラーは述べている。

『SAME AS EVER この不確実な世界で成功する人生戦略の立て方:人の「行動原理」が未来を決める』書影
『SAME AS EVER この不確実な世界で成功する人生戦略の立て方:人の「行動原理」が未来を決める』 (翻訳:伊藤 みさと)(三笠書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

これこそ、世界があまりに突拍子もなく見える理由であり、また「一生に一度レベル」の出来事が定期的に起こっているように感じる理由の1つだ。

この地球上には、およそ80億の人間がいる。つまり、ある出来事が100万分の1の確率で毎日起こるとすると、1日に8000人の身に、1年に290万回、そしてあなたの一生のあいだにおそらく2億5000万回起こるはずだ。

たとえ10億分の1の確率の出来事であっても、あなたの一生のあいだに何十万という人々の運命を変える。

ショッキングな見出しに対するニュースメディアの飽くなき渇望を考えると、あなたがこうした出来事について耳にする確率は、ほぼ100パーセントだろう。

モーガン・ハウセル 「コラボレーティブ・ファンド社」パートナー

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モーガン ハウセル / Morgan Housel

ベンチャーキャピタル「コラボレーティブ・ファンド社」のパートナー。投資アドバイスメディア「モトリーフール」、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の元コラムニスト。米国ビジネス編集者・ライター協会Best in Business賞を2度受賞、ニューヨーク・タイムズ紙Sidney賞受賞。優れたビジネス・金融ジャーナリズムを表彰するジェラルド・ローブ賞のファイナリストにも2度選出されている。妻、2人の子どもとシアトルに在住。著書に、全世界累計600万部のベストセラー『サイコロジー・オブ・マネー』(ダイヤモンド社)がある。

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