超展開ドラマ「ゼンケツ」はヒットの要素しかない SNSが沸きまくる"仕掛け"が散りばめられている

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この感じ、何か既視感があるなあと思ったら、イエスと仏陀が現代の安アパートで慎ましくシェアライフしている漫画『聖☆おにいさん』だった。

これは12月に実写映画『聖☆おにいさん THE MOVIE〜ホーリーメンVS悪魔軍団〜』が公開され、ここでは藤原竜也は堕天使ルシファーを演じている。

先行する作品を意識したのか偶然かは定かではないが、転生ものでは、2023年、バカリズムが脚本を書き、高い支持を得た『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)という先行作もある。

主人公が別の世界線に転生し生き直しを図る物語で、いまの人生で失敗したことをやり直したい願望をくすぐった。このドラマのヒットにより、転生という概念が当たり前にプライムタイムのドラマで放送されるようになっているのである。

ただ、『ゼンケツ』は『聖☆おにいさん』や『ブラッシュアップライフ』のようなコメディではない。

居酒屋コントかと思わせるシーンで興玉は、(令和のいまは)人間のほうが神を超えているかもと思わせぶりに呟く。さらに、発達したテクノロジーを使いこなすには「未熟過ぎます」と人間を批評するのだ。

第7話では新たな人物(野間口徹)が登場し、不老不死の人魚のミイラを使って、現状の神々を排除し、新しい神を作り上げようとする計画を語った。

もしかしたら、進化したテクノロジーを持った人間が神殺しを目論んでいるのではないか。事態は大それた「神殺し」の物語へと転がっていきそうなのだ。スケールがでかい。

ゼンケツ
宇迦之御魂神の小日向文世や月読命の石田ひかりなど、実力派俳優が脇を固める(画像:『全領域異常解決室』公式サイトより)

社会問題も含んだエンターテインメント

主演の藤原竜也は2000年代に大ヒットした漫画原作の実写映画『デスノート』で、人間ながら「新世界の神になる」と宣言する夜神月を演じていた。

『ゼンケツ』での藤原竜也は、逆に人間にとって代わられそうになっている神様を演じているのである。

『デスノート』然り、人間が進化を遂げて不可侵な領域にまで迫っていくことの是非を問う物語は古くから存在する。

例えば、AIが人間を凌駕してしまいそうな2045年にはシンギュラリティ(AIが人間の知性を上回るという仮説)が起こると言われる今、この手のテーマは以前にも増して誰もの身近な問題になってきている。

『ゼンケツ』は一見、マニア受けのオカルトミステリーだが、よくよく味わってみれば、大ヒットドラマに成り得る、社会問題も含んだエンターテインメントなのである。

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