トランプが息巻く「追加関税」世界経済への影響度 BNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏に聞く
――アメリカは世界最大の経済大国ですので、世界経済に与える影響も大きい。トランプ氏の政策によって、世界経済が大幅にスローダウンするようなことにはならないという見立てですか。
トランプ氏はあくまでもディールのためだと言っているので、私は中国に関税を結果的にはかけないと思っています。
ただ、かけた場合どうなるかということですが、中国経済は大きく悪化しますよね。中国は財政政策で対応しようとしますが、それでも景気が大きく悪化する。
そうなると、先ほども少しお話ししましたが、日本や中国の周りにある東アジアの国々は、中国向けの輸出もそうとう多いですから、それなりのダメージを受ける。ヨーロッパも中国向けの輸出が多い。だから中国の関税がどのくらいになるかというのが焦点の1つです。
もう1つは、日本やヨーロッパにも関税をかけるとトランプ氏が言っているんですが、おそらく関税をかけるという表明をしたとたんに、そのこと自体がドル高を引き起こします。ですから、日本が仮に10%の関税をかけられてアメリカ向けの輸出が大変になるかというと、一方で10%ぐらいのドル高などでオフセットされるので、その心配はない。
キーになるのは米中の交渉がどうなるか
やはりキーとなるのは本当に不確実でわかりませんが、中国との交渉がどうなるかということに尽きる。
それを抜きにするとインフレ的であり、アメリカがなかなか利下げできない、むしろ利上げするかもしれないということでドル高になる。
あとは多くの国からすると、ようやくアメリカで利下げが始まったので利下げをどんどん進めることができると思っていたのに、アメリカが利下げをストップするということになると、ほかの国も利下げができなくなるのでしんどいですね。
ただ、日本銀行は利上げの方向にあるので、唯一そこの部分で、日本だけはあまり困らないという部分もあるかもしれません。
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