トランプが息巻く「追加関税」世界経済への影響度 BNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏に聞く
――2期目のトランプ氏は政策をバリバリ進めると見ていいわけですか。
そうだと思います。具体的な政策なんですけれども、そもそも今、アメリカ経済がかなりしっかりしているんですね。
1つ目にトランプ氏の当選が決まる前の段階からFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は景気がいいからそんなに利下げできないという話になっていたわけですが、トランプ氏は景気がいい中で大規模減税をやるということですから、それは需要を強めてインフレ率を高めることになります。
2つ目に移民規制の強化については、この2~3年、バイデン政権下で移民が入ってきていたから労働需給が緩んでインフレも落ち着いてきていたわけですが、移民を抑制するということになると、これまたインフレ率を押し上げるということになります。
そして3つ目ですけれども、関税強化、特に中国に6割も関税をかける、あるいは同盟国を含めてすべてに10~20%の関税をかけるということになると、よその国からの商品を値上げするということになりますから、これもインフレ率を高めるということになる。
そうなると、FRBが利下げをストップするということだけでなくて、政策が本格化したときに利上げのリスクが出てくるということもあります。
トランプ氏は「ディールの人」
ただここで確認しておかないといけないのは、基本的にトランプ氏はディールの人です。
われわれが恐れているのは、中国にそうとうな関税をかけるということになると、中国経済が悪化する。そうすると日本も東アジアの国もヨーロッパも中国に輸出しているところがダメージを被る。
アメリカ自身も返り血を浴びるリスクもあるんですが、トランプ氏にとって(関税は)基本的にディールの材料なので、例えば、習近平国家主席がアメリカからの輸入を大量に増やすということになれば、関税はかけませんということになるんですね。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら