「売れなくなった」を売れるに変える最強思考の型 正しく論理的に考えるだけでは解決策は見つからない

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そこで調査で詳しく調べてみたところ、「ミルクだけを飲む」ということはほとんどないことが判明しました。担当者が考えた通り、ミルクはある食べ物の補完物であり、これまでの広告で描かれたように、主役であることはまれであるということがデータからも分かったのです。

さらにグループインタビューを行い、いくつかのグループにコップ1杯のミルクを見せたところ、ほとんどの人が「う~ん、ただのミルクだね」と答えるだけで、あまり言葉が出てきませんでした。しかし、別のグループで、チョコレートチップ・クッキーやブラウニーの写真を見せると、ほぼみんな同じことを言うのです。

ミルクよりも食べ物に反応

「いまこのクッキーにミルクが一杯あれば最高」

つまり、このインタビューでの発見は、生活者はミルクよりも食べ物に反応するということです。ミルクは、それだけを飲みたいとは思ってもらえないようで、食べ物の重要なお伴だということがわかりました。対象者によれば、ミルクと一緒だとこれらの食べ物は最高にうまい、ミルクが無ければ台無しだというのです。人がミルクのことを意識するのは、「欲しいのにミルクが無いとき」だけらしいということが明らかになりました。

そこで考えられたのが、ミルクと一緒に食べるものを、ミルクを欲しがらせるために広告の中で使うというアイデアでした。こうして実際に生み出されたのが、「ミルクある?(got milk?)」という広告です。チョコレートチップ・クッキーを食べるシーンでミルクがない事にショックをうけるTVCMなど、組み合わせる食べ物はあるけれど、ミルクがないことで、食べ物もその時間も台無しになってしまうという内容を描いていきました。

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