「売れなくなった」を売れるに変える最強思考の型 正しく論理的に考えるだけでは解決策は見つからない
優れたマーケターや企画者たちは、この「インサイト」を見つける力を活用しています。それは特別な才能ではなく、再現可能な思考プロセスによって誰でも身につけられるスキルなのです。
その思考プロセスを体系化したものが、「出世魚モデル」という型です。成長に伴い名前が変わる出世魚のように、自分の感覚で捉えた小さな違和感を、思考の順番に沿って掘り下げ、最終的に「人を動かす隠れたホンネ」、つまり「インサイト」へと育てていきます。「出世魚モデル」を使えば、これまでよりも驚くほど短い時間で、誰でもインサイトを見つけ出せるようになります。
そして、そのインサイトをもとにしたアイデアは、行き詰まった現状を突破し、少ない力でより大きな成果を生み出す力を持っているのです。
私は広告会社・電通で長年、マーケティングの仕事に携わってきました。特に、「売れない」「売れなくなった」商品をどうにかするための戦略を考える場面に何度も立ち会ってきました。その戦略に基づいて、人々に商品を買ってもらうための方法や広告の出し方が決まっていくのです。
クライアントから寄せられる相談の多くは、「これまでの手法が通用しなくなった」「新しいアプローチが必要だ」という切実なものです。ロジカルに情報を集めて考えるだけでは解決できないという難題に直面することも何度もありました。
こうした状況で重要だったのが、「インサイト」を使って、一気に問題を解決できる突破口を見つけ出すことでした。
なぜ、インサイトを見つけると問題を解決できる?
さて、なぜ「インサイト」がいいのでしょうか?
それは、普段は表に出ない「隠れたホンネ」にたどり着けるからです。
ここで一つ事例を見ていきましょう。
下がり続けるミルクの消費量の落ち込みを食い止めて、消費量を上げるために、1993年にアメリカのカリフォルニア牛乳協会が行った広告、「ミルクある?(got milk?)」キャンペーンの事例です。
出典:『アカウントプラニングが広告を変える 消費者をめぐる嘘と真実』ダイヤモンド社・ジョンスティール著 をもとに筆者要約
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