「ネットで情報追う人」に伝えたい"新聞のススメ" SNS全盛期だからこそ紙の新聞の重要性高まる

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そして情報のシャワーから抜け出すと、日々のニュースをバランスよく取得するのがとても難しいのに気づきました。ネットでは情報が偏るし、守備範囲を広げると時間がどんどん溶けていきます。リンクをたどって脇道にそれる誘惑も強いのです。

ネットメディアはトラフィックが命なので、好奇心や、嫉妬、怒りなどの感情を操作して、情報を追いかけたくなる人間の意識を利用します。たとえ時間の無駄だとわかっていても、アプリやSNSを開いてしまえば、なかなかあらがえないのです。

ピンチを救ってくれたのは「紙の日経新聞」でした。退職して数カ月後、朝食時にパラパラとめくるようになって、「紙の新聞って、こんなに便利だったのか」と驚きました。情報収集の効率がネットよりはるかに高いのです。今は新聞で全体をカバーしてネットで補足するスタイルでニュースをチェックしています。

紙の新聞の魅力を若者に伝えたい

この「紙の新聞」の魅力を若い世代に伝えたい。そう考えてみて、ふと疑問が浮かびました。

多くの若者は「紙の新聞」の読み方を知らないのではないか。私たちの世代にとって当たり前の「新聞を読む」という行為が、その意味も方法も、まるで理解されていないのではないか、と。

そこで私は、「30日間、新聞を読んでみよう」プロジェクトを始めることにしました。これは、とある20代の若者ふたりに対して、私が1カ月間かけて新聞の読み方を伝授するという企画です。

「新聞の読み方」講座で最初に伝えたのは、「新聞の最大のメリットは『読まなくてもいいこと』である」でした。読むのではなく「眺める」。紙の新聞の価値は、ニュースの概要と重みが一目で分かる見出しとレイアウトの一覧性にあります。

ざっと眺めて日々めくるだけでいい。時間があれば気になる記事だけ拾い読みする。ほとんど読みもしない紙の束に1カ月5000円も6000円も払うなんて、もったいない。そう思うかもしれませんが、紙の新聞の費用対効果、いわゆるコスパ(あまり好きではない言葉ですが)がとてもいい。タイパ(もっと苦手な言葉です)も素晴らしい。コストと効率の両面で最強のメディアです。

「それはオジサン(今年で52歳です)の意見でしょ」と鼻で笑いたくなる気持ちはわかります。でも、それは「読んだことがないから」だと思います。

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