もっともトランプさんのことゆえ、その辺のことはたぶん「決めてない」。彼の交渉スタイルはいつも「出たとこ勝負」である。時間がかかる「ネゴシエーション」ではなく、パパッと決断する「ディール」がしたい人なのだ。どういう風に転ぶかはまったくわからない。ともあれ、来年夏頃の米中交渉は見ものとなるだろう。
2025年の秋は長期金利上昇に注意
その次は「秋」ということになる。
秋には新年度予算の審議が始まる。10月1日から始まる2026年度予算の編成では、2025年末に失効する「トランプ減税」の延長を図ることになるだろう。同時に次期トランプ政権は、法人減税(35%から15%)も目指している。このことは企業部門にとっては朗報となるだろうが、景気過熱や財政赤字の拡大をもたらす恐れがある。
財政赤字が拡大すると、アメリカの長期金利が上昇することになる。来年秋頃にはアメリカの連銀による金融緩和も進んでいるだろうが、ここで財政が緩むようだとインフレ再燃の恐れが出てくる。ジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長としては頭の痛いところである。ちなみにパウエル氏の任期は2026年5月まで。「またトラ」リスクに頭が痛い人の最たるものだろう。
この間、トランプ政権としては歳出の削減も図らなければならない。そのため、新たに「政府効率化省」(DOGE=Department of Government Efficiency)を設置し、経営者であるビベック・ラマスワミ氏とイーロン・マスク氏を起用する。このユニークなお二人がどんな力量を見せてくれるのか、お手並み拝見といったところだ。
こうして年間を通じてみると、トランプ流の経済政策はいかにも長期金利の上昇を招きそうである。すなわちドル高を招くことになるのではないか。日本としては、来年はまたまた「悪い円安」への警戒が必要な年になるかもしれない。かつて財務長官だったジョン・コナリー氏は、「ドルはわれわれの通貨だが、君たちにとっては問題だ」と放言したそうだ。いやもう、今でもまったく変わってませんがな。
トランプ政権は規制緩和やAIの普及促進、化石燃料の活用によるエネルギー価格の引き下げなども進めたい考えだ。どうしても景気は過熱気味となりやすく、年間を通じてドル金利の動向には警戒が必要だろう。アメリカ議会では、年明け早々に「債務上限問題」も復活するので、年間を通じてアメリカの金利を意識する1年となりそうだ(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら