「またトラ」リスクは「トランプ四季報」で準備せよ 政治日程を考えれば「次のリスク」が見えてくる

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他方では、金融がらみの「脱炭素」の仕組みが気になるところだ。すでにテキサス州やフロリダ州などの共和党州では「反ESG法」が成立している。「意識高い系」(Woke)な投資は許さない、ということで、いわばアメリカ国内の政治的分断が影を落としている形。この動きは今後4年間で加速するだろう。

「春」は不法移民問題、「夏」は通商問題がネックに

お次は「春」のリスクだ。

年明け1月20日には第2期トランプ政権が発足する。新政権にとって大事なのは、「最初の100日」だと言われる。政権発足から100日目にあたる4月末を睨んで、次期政権が最初に取り組む課題は何だろう。

今回の選挙結果を振り返ってみると、ヒスパニック系の票が大きくトランプ氏に流れたことがわかる。「不法移民問題」に対するバイデン政権への批判票が集まったようで、次期政権にとってはこの問題が「一丁目一番地」となるだろう。そこで春に向けて、大規模な不法移民の強制送還作戦を始めるのではないか。

その場合は、真っ先にメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領との関係が悪化することになるだろう。メキシコに進出している日本企業にとっては、大いに気になるところだ。

他方、大規模な不法移民の強制退去が行われれば、新たな移民の流入も減るだろう。アメリカ国内の建設、サービス、レジャー、農林水産業などの現場は、移民労働力に負うところが大きいので、性急な移民対策は国内の人手不足や物価上昇を招く恐れがある。長期的には、ようやく収まりつつあるインフレ再燃のリスクもあると言えるだろう。

その次は「夏」となる。

政権発足から半年後に来るのは通商問題だろう。トランプ氏は関税引き上げを公約にしているけれども、そのためにはさまざまな手続きが必要となる。第1期政権でも半年程度の準備期間を必要としたものだ。現在、財務長官人事の発表が遅れているところを見ても、経済スタッフの中でも意見の統一は簡単ではない様子。つまり、関税は政権発足からすぐに引き上げられるわけではないということだ。

次期トランプ政権としては、たぶん関税引き上げの用意を整えつつ、中国などを相手にした通商交渉を始めたいのであろう。そもそもアップル社のiPhoneも、日本製の部品や台湾製の半導体を使って、中国で組み立てられている。対中関税の引き上げは、アメリカ経済にとって確実に重荷となるはずだ。できれば中国側と交渉を進めて、何らかの実利を得るほうが得策となるはずだ。

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