UUUMを上場廃止させるオーナー会社の腹づもり 買収後も業績は低迷、2度目のTOBに至った深層

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なお、フリークアウトは1回目のTOBに当たり、創業オーナーだった鎌田和樹氏との間で、公開買い付けにかかる決済の開始日(2023年9月15日)から6カ月間は、当時の公開買い付け価格727円と異なる価格で別途公開買い付けを実施する場合、鎌田氏から事前に承認を得なくてはならない契約を結んでいた。

当時こそ別途の公開買い付けを実施する予定はないと明記していたフリークアウトだが、この期間が明けたとたんに話が進んだことを踏まえると、従前から完全子会社化を意識していたことが透ける。

今回、晴れて完全子会社化を果たせば、UUUMの上場維持コストはもちろん、オフィス統合による費用削減を合わせて、年間数億円のコスト削減が見込まれる。前述のインフルエンサーマーケティング企業との提携については、TikTokやインスタグラムに強い企業を物色していく方針だ。

11月19日の決算説明会でフリークアウトの永井秀輔CFO(最高財務責任者)は「広告主からすれば、マネージャーをぴったりつけるほどの規模感ではないマイクロインフルエンサーも、ある程度の属性でセグメンテーションし、広告を出していきたい領域だ。この領域でも(ターゲティングに長けている)DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)に近いことをやっていきたい」と意気込みを語った。

不透明な事業展望への懸念も

ただ、UUUMの事業展望が不透明であることから、説明会の質疑では「資本効率を考えると、UUUMの完全子会社化よりも、自己株買いなどの株主還元を優先するべきでは」といった指摘が飛んだ。こうした懸念を払拭するには、完全子会社化によってシナジー創出のスピード感が上がったことを、UUUMの収益面やM&Aの加速で示さなくてはならない。

また今回のTOBが成立すれば、フリークアウトに次ぐ大株主であり、UUUM創業メンバーでもある人気YouTuber・HIKAKIN氏が株式(現在の保有割合は2.2%)を手放すことになる。会社の在り方が大きく変化する中で、今回のTOBのメリットを丁寧に説明し、所属クリエーターらを束ねる求心力を維持できるかも重要なポイントだ。

UUUMの再建、そしてM&Aの加速を通じて、フリークアウトはインフルエンサーマーケティングの総合企業への道を歩むことができるか。グループ内外ともに山積みの課題を1つずつクリアしていく必要がある。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ゲーム・玩具、コンテンツ、コンサル業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、医療機器、食品など。趣味は東洋武術。

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