UUUMを上場廃止させるオーナー会社の腹づもり 買収後も業績は低迷、2度目のTOBに至った深層

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ところがUUUMの2024年9月期(16カ月の変則決算)は売上高275億円と、前年同期比8.9%の減収に陥ってしまう。ショート動画の隆盛やクリエイターとの契約形式変更により、アドセンス収入は徐々に減少。さらにインフルエンサーマーケティング市場の競争環境が激しくなる中で、タイアップなどのマーケティング事業も落ち込んだためだ。フリークアウトは営業統括の経験がある役員をUUUMに送り込むなどマーケティング事業のテコ入れを図ったが、効果が出るまでに時間を要している。

既存の取り組みだけでUUUMの売上高を上向かせることは困難とみたフリークアウトは2024年4月上旬、売り上げ成長とコスト削減の両側面から、さらなる部門統合や人材配置の最適化など、踏み込んだ連携が必要との考えを持ち始めた。

また、グループ全体のインフルエンサーマーケティング事業拡大を見据えたとき、フリークアウトはYouTubeに限らず、各種SNSにおけるマネジメント業やグッズ・ライブといった周辺ビジネスなど、UUUM以外との資本業務提携も重要になると見込んできた。実際にさまざまなM&A案件が持ち込まれる中、グループ戦略としてフリークアウト側が出資し、協業先との具体的な取り組みには、知見のあるUUUMの人員リソースなどを動員する青写真も描いていた。

上場メリットも享受しづらい状況に

もっともグループ内連携の深化には、1回目のTOBで尊重したUUUMの上場企業としての独立性という壁が立ちはだかる。フリークアウトとほかのインフルエンサーマーケティング企業との資本業務提携にUUUMのリソースを費やせば、UUUMの少数株主との間で利益相反も生じかねない。

こうした経緯から、フリークアウトは5月中旬から下旬にかけて、UUUMの完全子会社化が必要不可欠であるという考えを深めていった。

UUUMとしても、株式の出来高や時価総額、直近の業績が低迷している点を踏まえ、市場からの資金調達という上場維持のメリットを享受することが困難になっていた。UUUM経営陣の間では、株式市場からの短期的な目線にさらされることなく、中長期的なクリエーターへの投資を進めたい考えもあった。

両社は3月頃から、非上場化による抜本的な対策を講じなければ、営業赤字が恒常化するという危機感を共有してきたという。結果、6月から今回のTOBの協議に入り、買い付け価格の交渉などを経て、提案を応諾することとなった。

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