オイシックス髙島社長「シダックス」買収の真意 前回のTOBからわずか1年、子会社化に踏み切る
――昨年のTOBから約1年でシダックスの子会社化を発表しました。子会社化の狙いについて改めて教えてください。
昨年のTOB以前から私とシダックスの志太勤一社長との間で、現場同士で「もっと協力できる部分がある」というコミュニケーションをしていた。そして私がシダックスの社外取締役に就任した今年1月以降、より具体的な協業のアイデアが浮かんできている。
オペレーション面の共通点が多い
シダックスに限らず給食業界の環境は、人手不足と原材料高騰で非常に厳しい。われわれが展開してきたミールキット事業はそのソリューションになれる。給食の食材をミールキット化することで、調理にかかる時間や人を節約することができるからだ。
当社の食材は市場からではなく、生産者から直接調達しており、農薬不使用の野菜など付加価値も高い。そのため、食材費の削減と価値向上の両面を追求できる。昨年以降、こういった分野を中心にシダックスとの協業を模索しており、実験の成果も着実に出てきている。
ただ、こうした実験はデイリーでPDCA(仮説・検証)を回すことが不可欠だ。例えば、導入した保育園で園児の完食率が下がるといったことがあれば、食材の保存状態や加工具合、製造工場の変更など細かな調整をしなければならない。オイシックス側の工場で行っていた加工を、給食製造の現場で行うということもあるだろう。こういった2社間の取引形態の変更がある度に、双方の会社の決議を待つ、というのは非常に時間がかかる。
今夏、広島に本社を置くホーユーの破産による学校給食の停止が全国的なニュースになったように、業界の経営環境は激変している。スピードが重要だというシダックス創業家との共通認識のもと、今回の結論に至った。
当社としても「オンラインのto C(消費者向け)サービス」から事業領域を広げたいと常々思っていた。特にサブスクのto B(法人向け)フード事業、すなわち給食は「毎日『同じ』顧客に『違う』商品を提供し続ける」という点で、既存のサブスク事業とオペレーション面の共通点が多い。給食事業への参入は、3~4年前から検討していた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら