追い込まれたドコモ、「値下げ競争再燃」へ火蓋切る 競合も追随、業界は"ゼロサムゲーム"加速か

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とくにこれから重要になってくるのが、シニアユーザーに代わって今後ドコモの収益に貢献する、若年層ユーザーの獲得だ。「人口減を見据え、将来の収益の礎となる顧客基盤の獲得、シェア拡大にしっかり注力すべき時だ」(前田社長)。

決算説明会に臨んだNTTドコモの前田義晃社長
6月に就任したばかりのNTTドコモの前田義晃社長。ポイントや決済事業など非通信分野に長く携わってきたが、まずは本業の立て直しを迫られている(記者撮影)

もっとも、スマホが広く普及している業界はすでに成熟期を迎え、「ゼロサムゲーム」の様相を呈しつつある。2020年にキャリア事業に本格参入した楽天モバイルも、競争力のある低廉な料金プランと営業力で契約者数を急拡大し、存在感を増す。

MM総研の横田英明副所長は「昔“大横綱”だったドコモは今、競合と肩を並べている状態だ。失われたブランド力を回復するのは大変チャレンジングで、今のドコモの動向を見ていると、再び携帯料金が下がっていく可能性は高いと思う。これから、キャリアにとってはなかなか大変な戦争になるだろう」と予想する。

本業の立て直しに本格着手し、追加対抗策も示唆するドコモ。追い込まれた王者の反転攻勢を受け、物価が上昇するインフレ局面から切り離されていた国内通信業界は、これからさらに逆方向へと大きく舵を切ろうとしている。

茶山 瞭 東洋経済 記者

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ちゃやま りょう / Ryo Chayama

1990年生まれ、大阪府高槻市出身。京都大学文学部を卒業後、読売新聞の記者として岐阜支局や東京経済部に在籍。司法や調査報道のほか、民間企業や中央官庁を担当した。2024年1月に東洋経済に入社し、通信業界とITベンダー業界を中心に取材。メディア、都市といったテーマにも関心がある。趣味は、読書、散歩、旅行。学生時代は、理論社会学や哲学・思想を学んだ。

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