上場廃止のスノーピーク「純利益99%減」の背景 在庫が余りすぎて安全性は「危険水域」へ

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また、事業別の売上(→下グラフ)では、アウトドア事業が前期から21.5%減少。

事業別の売上高推移
(画像:『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』)

販売形態別(→下グラフ)では、ディーラー(小売り)卸が48.1%減と、大きく減少しています。

販売形態別の売上高推移
(画像:『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』)

これについて同社は「卸売先の当社商品在庫は適正水準に近づきつつあるが、エントリー商品を中心に実売が減少」と説明。つまり、当期の売上減の主因は、ブーム終焉により初心者向け商品が売れなくなったことであり、その結果、小売店が一時的に過剰在庫に陥ってしまったとわかります。

続いて、営業利益をみると、前期比74.3%減で、営業利益率は売上が同規模の2021年と比べて11.2ポイントも減少。原因は、販管費の増加にあります。

有価証券報告書から販管費の内訳を調べると、特に「給料手当」の割合が大きく、2021年が24.5%に対し、2023年は27.0%とさらに増加。従業員数から1人当たり給与を単純計算すると、2021年が406万円に対し、2023年は506万円と100万円上昇していることから、給与のベースアップが利益を圧迫したと分析できます。

また、当期は前期同様、既存店及び海外現地法人の収益性を見直したことで、4億円の減損が発生。最終利益は前期比99.9%減の100万円と、赤字転落の一歩手前まで減少しました。

在庫があまりすぎた

体つきはどうでしょうか。総資産は前期から40億円(13.0%)増加。うち、流動資産が前期から31億円(18.6%)増えています。

貸借対照表(B/S)
(画像:『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』)

なかでも「棚卸資産」(在庫)が、前期から59.9%と大幅に増加。棚卸資産回転期間(在庫などの棚卸資産が売上に変わるまでの期間)を計算すると、171日から362日と倍以上になっており、在庫がだぶついています。エネルギーになる前の脂肪が、かなり蓄えられている状態です。

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