半導体バブルに異変「AIかそれ以外」明暗くっきり "異次元の生産"に沸くアドバン、赤字のローム
ディスコもHBM向けについては同様の見方をしているが、AI半導体向け全体に対するスタンスは強気だ。「生成AI向けが短期間のブームに終わる懸念は後退した」(IR担当者)というのだ。「2025年からは、先端パッケージング側での投資が強まってきそうだ」(同)。
先端パッケージングとは、ロジックチップとメモリーチップを高度な技術で電気的に接続する工程のこと。高性能なAI半導体を製品として仕上げる工程ではほとんど必須になっている。先端パッケージングは工程が複雑で、ディスコが強みを持つ研削や研磨工程が、何度も繰り返し行われることになる。
主に台湾の半導体製造受託大手TSMCがこの工程への投資を強めており、エヌビディア以外の半導体メーカーも同技術を活用して高性能な製品を作り上げることになる。先行したHBM向けに続いて、こうした先端パッケージングで使われる装置の需要が2025年まで見えてきている状況という。
ロームは12年ぶりに赤字転落
一方で「AI以外」の半導体を手がけている国内半導体メーカーは、”暗”に転じている。
象徴的なのは、アナログやパワー半導体を主に手がける半導体メーカーのローム。同社は11月8日、通期業績見通しの大幅な下方修正を発表した。今2025年3月期の営業利益は従来予想の140億円から一転、150億円の営業赤字に転落する見通しだ。
自動車や産業機械、家電など同社がメインとしている領域すべてが振るわない。営業赤字となるのは2013年3月期以来、じつに12年ぶりとなる。
こうした状況を受け、「2030年に世界シェア30%」のトップ企業になることを目指して大増産を進めていたEV向けの次世代SiC(炭化ケイ素)パワー半導体への投資を、従来計画よりも縮小させる方針に転換した。
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