半導体バブルに異変「AIかそれ以外」明暗くっきり "異次元の生産"に沸くアドバン、赤字のローム

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急ピッチで進めていた来期以降の供給能力拡大は延期。来2026年3月期に1100億円以上を掲げていた営業利益目標も、2027~2028年3月期の2カ年で1100億円を確保する計画へ軌道修正した。

同じく、自動車や産業機械をメイン顧客とする半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスも振るわない。同社の今2024年12月期の売上収益は約1兆3300億円と同9%前後の減収になる見込み。産業向けが足を引っ張り、車載半導体でも見通しを引き下げた。

2024年末以降の需要はさらに弱くなりそうで、工場稼働を大幅に落とす生産調整も行う。「これまではアップターンを逃さないように運営してきたが、今はより強くブレーキを踏む必要がある」(柴田英利CEO)。10年ぶりに再稼働を予定していた甲府工場でのパワー半導体の量産は、延期する方針だ。

低迷からの出口は現段階では見通せない状況で「どの顧客と話しても『来年の前半には回復』と言うが、そのすぐ後に『でも根拠はないんだよね』となる」(柴田CEO)。

バブルから一転、混迷期へ

半導体業界全体を見渡すと、AI向けで高いシェアを持つエヌビディアとTSMCと距離の近い会社には追い風が吹く。が、それ以外はまだら模様で調整局面に入っている。

ロームやルネサスなど国内メーカーが強い車載向けだけでなく、スマートフォンやパソコン向けの回復もほとんど見通せない状況だ。半導体バブルから一転、足元は混迷を極めている。その中で関連メーカーの期待は、エヌビディアが牽引する「AI半導体頼み」の様相が強まるばかりだ。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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