EUの対中「EV追加関税」、中国政府がWTOに提訴 公正競争に名を借りた保護主義的行為と批判

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EUの決定に対して、中国商務省の報道官は10月30日付の声明で強い不満と反対を表明し、次のように述べた。

「中国製EVに対するEUの反補助金調査には不合理な点やルール違反が多々あり、わが国はそれを繰り返し指摘してきた。これは『公正な競争』の名の下で『不公正な競争』を行う保護主義的なやり方だ」

中国商務省の定例記者会見で記者の質問に応じる報道官(同省ウェブサイトより)

中国のEVメーカーにとって、ヨーロッパ市場は重要な輸出先だった。しかし欧州委員会が反補助金調査に着手して以降、輸出台数は縮小に転じた。中国機械電子製品輸出入商会のデータによれば、2024年1月から8月までの中国製EVのEU向け輸出台数は29万7500台と、前年同期比7.6%減少した。

EU産ブランデーに対抗措置

「EUと中国は反補助金調査で明らかになった問題の解決に向け、(追加関税の)代替案を探す努力を継続している」。欧州委員会は追加関税の正式決定の声明でそう述べ、将来の措置撤回に含みを残した。

(訳注:上述の代替案とは、具体的には中国メーカーによる価格と数量の輸出自主規制を指す。11月中旬時点で合意の見通しは立っていない)

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

一方、中国商務省はWTOへの提訴以外にもEUへの対抗措置を繰り出し、揺さぶりを強めている。

商務省の貿易救済局は10月8日、EUを原産地とする200リットル以下の容器に入ったブランデーに反ダンピング措置を暫定適用すると発表。EU産ブランデーを輸入する中国の貿易業者は、輸入金額に応じて一定比率の保証金(デポジット)を税関に納めなければならなくなった。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は11月4日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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