一方で、社会人1~2年目の頃にしていた浪費は、その当時の自分にとっては必要なことだったと振り返る。ストレス解消にデパコスを買い、外食して満たされることで、また次の日を頑張れた。だからこそ、みんなが節約をするべきだとは思わない。ただ、ふゆこさんの場合は節約を通して自分を充足させる手段を見直していくことになった。
「コスメを買いあさるのは、その時は気持ちがよくて満たされるのですが、数日経つとどうでもよくなっちゃう感じでした。浪費による快感はドーパミンが分泌されて得られるようです。だから次第にエスカレートしていく。もう少しセロトニンやオキシトシン的な幸福が必要だと思うようになりました」
それに気づいたふゆこさんは、好きな山を眺めたり、ぼーっとしている時間を得ることで自分を癒やせるように変わっていった。瞬発的にハイになるようなドーパミン的な充足から、しみじみと満たされるようなセロトニン、オキシトシン的な充足、そういう自分の癒やし方を見つけたのだ。
節約は「自分を掘り下げる」作業
お金を使わなくても、満足できる生活を送れるようになった。むしろ、お金の不安から解放されたふゆこさんは落ち着いていて、より生活が充実しているように見える。
「節約と聞くと“我慢する”といったイメージがありますけど、私は今の生活に満足しているんですよ。節約を通して、自分の好きな物や欲しい物に対する感情を、どう切り分けて、自分が本当は何が好きなのか深掘りしていく作業をしました。自分に向き合う時間でした」
結果、自分がなぜそれを好きなのか、論理的に納得できるようになったそうだ。例えば、大好きだったコスメは、自分がどこに価値を感じているか掘り下げていくことで、色を使ってメイクすることに楽しみを覚えていたことに気づいた。だからこそ、デパコスでもプチプラでも自分の満足度に大きな変化がないことを改めて発見できた。それが「我慢をしない節約」へとつながった。
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