干ばつでカリフォルニアワインはどうなる? 乾燥に強い新たなブドウ栽培方法模索も
だがアンビスの周辺では肝心の地下水すら底を尽きかけている。樹齢の高いブドウであれば十分に根を張っており、土壌中の少しの水分を吸って生き延びることができる。だが若い木ではそうはいかない。アンビスの昨年のブドウの収量は2010年(今回の干ばつが始まる前の最後の「まともな」年だった)の3分の1に満たなかった。
農業はカリフォルニアで最も水を使う産業だと言われ、ただでさえ逼迫した水資源を大量に消費しているように見られている。だが、ブドウは栽培にそれほど多くの水を必要とする作物ではない。他の植物が生えないような乾いた場所でも何とか生き延びられるように遺伝子的にプログラムされているからだ。
立地によってもワイン園の運命は大きく変わる。パソロブレスにある「タブラス・クリーク・ビンヤード」では、32キロ南東にあるアンビスほど水で苦労はしていない。
タブラス・クリークでもアンビスと同様に、42ヘクタールの畑の大半で乾地農法を行っている。ここがうまくいっているのは、パソロブレス西部の降水量が東部よりもずっと多いからだ。12年以降、冬期の降水量は平年(710ミリ)の半分程度だが、それでも地下水脈を補充するには十分だった。
水を使いこなす経営者たち
「畑は順調だ。乾地農法をやっている区画は特に」と、タブラス・クリークの共同経営者ジェーソン・ハースは言う。「空から降ってくる雨だけで育つブドウのほうが、地中からくみ上げた水や山から流れてくる水で育つブドウよりも出来がいい」
とは言っても、できる限りの節水はしている。ワイナリー(電気は太陽電池でまかなっている)の男性用トイレには、水を使わない小用便器を設置している。
乾地農法とバイオダイナミック農法(有機農法の一種)を組み合わせることで、高品質のブドウと高品質のワインが作れるとハースは言う。
「干ばつのマイナス面だけが取りざたされているが、この3年はうちのワイナリーが始まって以来、最高の年だった」とハースは言う。タブラス・クリークがブドウ栽培を始めたのは1994年のことだ。「緊張を強いられ、ブドウの木1本1本にまで注意を払わなければならなかったがね」
(執筆:Eric Asimov記者、写真:Jim Wilson/、翻訳:村井裕美)
© 2015 New York Times News Service
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