選挙で見えた日本とアメリカ「残念なほどの違い」 アメリカ大統領選で国論が分裂した根本理由

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ラストベルトでは、それらに代わって、新しい産業である製薬産業が成長した。

アメリカ全体を見ても、1980年代までにアメリカを支配した製造業は、時価総額でほとんど見る影もないほどに衰退した。その半面で、時価総額リストのトップを占める企業は、1980年代には存在しなかった企業がほとんどだ。

新しい産業を作ったのは、「新しいアメリカ人」

もう1つ重要な点は、前記の新しい企業群を作ったのは、移民、あるいは移民の子である場合が多いことだ。これはとくに、シリコンバレーのIT企業に顕著に見られる傾向だ。

こうした人々は、従来のアメリカ人ではなく、「新しいアメリカ人」なのである(なお、「新しいアメリカ人」は、最近になって始まったことではない。昔から、アメリカの発展を支えてきたのは、こうした人々だ)。

その典型が半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)であるが、同じことが他の多くのIT企業についても言える。アメリカの時価総額リストの上位にある企業のトップの多くが、移民、あるいは移民の子で占められている。

ラストベルトで失業している人々がこうした状況を見れば、自分たちの職が、新しくアメリカに入ってきた人々によって奪われたと考えたとしても、やむをえないだろう。

ただし、こうした変化によってアメリカ経済が全体として繁栄していることも事実である。こうした変化を通じて、世界経済におけるアメリカの地位が向上したのだ。

ところが、トランプ氏は、従来の産業の中心であったタイプの製造業を守ろうとする。そのために、中国からの輸入に対して関税をかける。そして、移民に対しても制約的な政策を取ろうとする。

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