自己放任が招いた「孤独死」この夏の過酷な現実 "死の現場"が映し出す社会のいびつな側面

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孤独死した部屋のゴミを片付けるスタッフ
孤独死の現場では、自分自身のケアができず、部屋にゴミがたまっていることが多い(写真:筆者撮影)
孤独死や陰謀論が社会問題化している。その背後にあるのが、日本社会で深刻化する個人の孤立だ。『週刊東洋経済』11月16日号の第1特集は「超・孤独社会」だ。身元保証ビジネスや熟年離婚、反ワク団体など、孤独が生み出す諸問題について、実例を交えながら掘り下げていく。
週刊東洋経済 2024年11/16号(超・孤独社会)[雑誌]
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防護服を頭まですっぽりと身にまとい、防毒マスクを着ける。そんな厳重な装いで特殊清掃業者と共にアパートや戸建て住宅に突入する。大抵カーテンか雨戸が下りているので部屋の中は真っ暗だ。コツコツとぶつかってくるのは無数のハエで、マスクの隙間から入ってくる死臭と、異常な熱気のせいで、すさまじい汗が噴き出す──。

照明がつくと、そこには人がたに広がった赤茶色の体液、そして蛆(うじ)やゴキブリといった大量の虫たちが待ち受けている。

こういった特殊清掃の現場の大半が孤独死だ。この過酷な現場を追い続けて10年近くになる。

まさに孤独死バブル

今年の夏は暑かった──。そのため知り合いの多くの特殊清掃業者が、引っ張りだこだった。彼らの多忙さは、この夏に多くの人命が奪われたことを物語っている。9月に入ってからも、うだるような猛暑が続いた今年の夏は、まさに孤独死バブルだった。

キャリア20年近くの特殊清掃業者は、こう振り返る。

「この時期に多いのは、熱中症による孤独死です。今年は物価高や光熱費の高騰が影響しているのでしょう。電気代を節約するためか、エアコンをつけていない、エアコンが壊れていても修理していない、あるいはそもそもエアコンがない部屋が目立ちました。ゴミがうずたかく積まれている屋敷や、逆に生活をギリギリまで切り詰めた簡素な物件も。生前に周囲との交流がなく、死後3カ月で発見された物件もありました」

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