そこで自治体は、「廃棄物の処理及び再利用に関する条例」や「清掃・リサイクル条例」「資源ごみ等の持ち去り防止に関する条例」といった条例を制定・改正。
「集積所に排出された資源ごみの所有権は自治体に帰属する」としたり、「首長等が指定する者以外の者が収集・運搬してはならない」と規定したりし、抜き取りがなされないように抑止している。
また、条例の中には罰則を規定しているものもあり、そこでは20万円以下の罰金、5万円以下の過料、氏名公表等が定められている。罰則の中には世田谷区のように、持ち去り行為自体を禁止し、禁止命令に違反した者に罰金を科す間接罰の方式をとる形もある。
これは、持ち去り行為を窃盗罪とすると被害額が少額となり不起訴処分となる可能性が高くなるため、このような工夫がなされているのである。
なお、環境省が公表した「令和4年度『資源ごみ』の持ち去りに関する調査報告書」によれば、「資源ごみ」の持ち去りを規制する条例の制定状況として、全国に1,700近くある地方自治体のうち411市区町村が「制定済み」、1,263市区町村は「制定予定なし」と示されている。
持ち去り者と対峙した行政職員
筆者が懇意にしている廃棄物関係者の中には、実際に資源ごみの持ち去りと対峙した人物がいる。現在は退職されたが、神奈川県座間市・資源対策課に勤務されていた依田玄基氏(58)から係長当時の話をお伺いできた。
2012年に依田氏が資源対策課に勤務していた当時は、古紙や金属類の買値が高く、自動販売機横のリサイクルボックス内の空き缶はもとより、行政回収に出された古紙(新聞)や金属、小型家電などを狙って収集日の前夜からさまざまな連中が市内を徘徊して奪取していた。
市民からの苦情は届いていたが、職員の勤務時間や安全確保の関係から、年1回1週間程度、朝7時半から大通りを中心にパトロールを行っている程度であった。
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