――日々の業務や実感から、情報発信の必要性を感じたということですか。
必要な情報というのはなかなか伝わらないものだと感じます。たとえば、更年期障害に悩んでいる女性はいまだに多いですが、医学が進化した今、必ずしも深刻に悩むべき病じゃなくなっています。医師の立場から言えば、症状が重い方は、ホルモン治療一択です。だけど、過去のメディアの影響が大きくて、ホルモン治療を敬遠する人は今も多くて……。もったいないです。
――更年期の症状は重くなるまで自覚しづらいのもあるのかなと。
日々忙しく過ごしているとそうなりがちです。でも、自分の不調に気づけなかったり、調子の悪さを打ち消そうとしてしまう人は、知らないうちに症状を悪化させてしまったり、心の不調まで引き起こすことも多々ありますから。そうなる前に自覚して、医療機関に相談していただけたらいいなと思いながら発信しています。
現代人を救うのは、医学的な情報のみならず
――高尾さんの発信は、医学的な情報にとどまらず、マインドの整え方から、キャリアや人間関係など人生面でのアドバイスまで多岐にわたっています。
基本は、聴いたり読んだりしてくださる方々の求めに応じて、お答えしているというスタンスですが、やはり、体と心は陰陽であり、一体ですから。先ほどお話ししたように、体の不調は心の不調にも繋がりますし。
――逆に心や人生の問題も、体に影響を及ぼしますよね。
はい。たとえば、保険診療では診断できない病気、検査では異常を指摘できない不調もあります。東洋医学的には未病と表現しますが、現代女性はその領域での悩みが本当に多くて。病院に行ったけど、よくならない場合も多い。
子宮筋腫や卵巣がんのような器質的な病気は手術のテクニックも時代と共に進化していますし、切り取ること自体は可能です。でも、実は子宮筋腫によって出血が多い状態を20年などと長い間、その不調を放置している女性も少なくありません。現代の女性は社会でも家庭でも役割を求められて忙しすぎるから、個人的な不調をそのままにしてしまいがちなんだろうなと。
医学は進化しても、ご本人が困っていると気づかない限り、解決にアクセスできないから、たくさんの方に伝えたいんですよね。
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