「カンブリア宮殿」放送開始18年経ても快走のナゾ 一時の勢いだけでは「企業も経営者も取り上げない」

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パン・アキモト社長の秋元義彦氏。この放送回も高視聴率だったという(写真提供:テレビ東京)

ひとりの人物に密着するテレビ番組の場合は、撮影が短時間では終わらず、長期密着になるケースも多い。では実際にどのようにして番組制作は行われているのだろうか?

「取り上げる企業や経営者によってバラツキがありますが、実際に企業に打診して接触して、リサーチをして、取材を開始してから完成までの平均を取ると1回放送分で大体、3~4カ月くらいかけています。

番組開始当初から我々が大事にしているのは『視聴者が何を知りたがっているのか』という視点です。企業や経営者自身が伝えたいことや見てほしいこととはズレや違いはあったりしますが、そこは丁寧に『見る人は、ここを知りたがっていると思いますよ』と説明をして、互いの一致点を見つけ、信頼関係を築き上げていくようにしています」(鈴木氏)

では『カンブリア』の制作者たちはどのようにして「視聴者目線」を把握しているのか。

「テレビ制作者である我々も一消費者、ひとりのユーザーなんです。だからといって独りよがりで『自分が知りたいから』というよりは家族や友人、知り合いの意見を参考にして、身近な人が何に関心を持っているのか、日常生活を送る中でヒントを得ています」(鈴木氏)

番組内容は長年ブレずに変わっていない

番組が始まって18年。『情熱大陸』(MBS・TBS系)や『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)といったヒューマンドキュメンタリー番組は歴史を重ねて、番組の色を少しずつ変えていったが、私が思うに『カンブリア』だけが番組開始から内容がブレずに変えていない。

これは野球で例えるとルーキーから大ベテランになってもずっと150kmストレートを投げ続けている剛速球ピッチャーという印象を受ける。『ニュースが伝えないニッポン経済』というコンセントを変えずに、硬派な経済トーク番組を貫いているのはなぜなのか?

「番組を制作する中で我々は視聴率と闘っていますが、『ニュースが伝えないニッポン経済』というコンセプトのもと、セットの豪華さ、番組の構成、VTR作りに落とし込み、通常のトーク番組とは一線を画するものを提供してきました。ずっと変えずに続けてきたことが支持されて結果的に長寿番組になったのではないかと思います。そのときどきの流行りの事象を見せる番組はいくらでもありますが、『企業の経営理念』『経営者の思考と手法』『困難や壁の乗り越え方』という部分をきちんと見せてくれる番組は『カンブリア』しかないと自負しています」(鈴木氏)

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