「カンブリア宮殿」放送開始18年経ても快走のナゾ 一時の勢いだけでは「企業も経営者も取り上げない」
「1988年に始まった『WBS』は主に日々のニュースを伝える番組、2002年に始まった『ガイアの夜明け』は結果にかかわらず挑戦する人たちを追う経済ドキュメンタリー。一方、『カンブリア』は『ニュースが伝えないニッポン経済』をコンセプトにしています」(鈴木氏)
『カンブリア』の魅力といえば、この番組だからこそ実現したとみられるゲストの面々。第1回のトヨタ自動車副会長(当時)・張富士夫氏を筆頭に、経済界の大物を取り上げてきた。一方で飯尾醸造五代目当主・飯尾彰浩氏、蒲郡市竹島水族館館長・小林龍二氏といったローカルで奮闘する中小企業の星のような経営者をキャスティングするのも特徴だ。そこには『カンブリア』ならではの人選の理由がある。
「果敢にチャレンジして成果を出したり、大ヒットしている商品やサービスを作り上げた経営者を主に人選しています。一時の勢いで目立つ企業や経営者が出現してもすぐには飛びつきません。世の中にどう受け入れられているのかを見定めるために熟成期間を取って、『この経営者は一過性ではなく世の中から持続的に支持を得ている』『この経営者は今後も持続的に世の中から支持を得るだろう』という視点でキャスティングしています」(鈴木氏)
U-NEXT 宇野康秀氏を「今」取り上げた経緯
これまでそうそうたる経営者が登場してきた『カンブリア』だが、放送後の反響は凄まじいものがあるという。
「ビックリしたのは『カンブリア』出演の影響があることが経営者同士で話題にされたりしていることです。放送後、電話回線やネット回線の接続の容量の増加とか、大量の問い合わせやアクセスに備えたつもりでも、追いつかないことも多いと。我々は企業や経営者の宣伝をしようと番組を制作しているわけではないんですが、そうした話を聞くと視聴者に見てもらえていてよかったという気持ちにもなります」(鈴木氏)
2024年8月29日放送回では、U-NEXT HOLDINGS社長・宇野康秀氏を番組として初めて取り上げた。宇野氏といえば楽天会長兼社長・三木谷浩史氏、サイバーエージェント社長・藤田晋氏、元ライブドア社長・堀江貴文氏らと共に2000年代に「IT業界の寵児」と呼ばれた人物。
2度の経営危機を乗り越えて、現在はアメリカ・ネットフリックスに次ぐ動画配信サービス・国内シェア2位のU-NEXTを率いるCEOとして復活を果たしている。しかしなぜ今、このタイミングで宇野氏を取り上げたのか?
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