政治と金問題より根本的な「自民党大敗の真因」 アジア地域で最も安定している政党のピンチ
アナリストたちは、石破氏が首相の座を維持できたとしても、党内から汚職を一掃する努力において大きな困難に直面するとみている。石破氏が自民党の党首に選ばれたのは、世間的な人気と、自民党員を批判する意欲があったからだが、政権に就いて数週間、石破氏は党内を効果的に”浄化”する能力を示していない。
45人以上の政治家が政治資金パーティーの収益を隠し、キックバックを受け取った疑惑に巻き込まれたが、石破氏は今回の衆院選ではわずか十数人の候補者から党の推薦を取り下げると発表していた。そして先週、日本のメディアは、自民党が推薦を失った候補者の地方支部に2000万円を送金していたことを明らかにした。
日本の政治が内向きになることへの懸念
東京の早稲田大学の政治学者、中林美恵子教授は石破氏は党内の反対派に直面しており、「自ら党を改革することはできない」と話す。しかし、「自民党がこれ以上議席を減らしたくないのであれば、来年の夏に予定されている参議院選挙の前に何かすべきだ」と中林氏は言う。「それが国民からのメッセージだ」。
少なくとも、今回の選挙が大きな混乱を引き起こすことはなかったようだ。連立政権がどのような形になるにせよ、日本の防衛予算を増やし、韓国との関係を回復させ、ウクライナをロシアの侵攻から支援するために世界で最も裕福な民主主義諸国と断固とした態度をとるという自民党の最近の動きから後退することはないだろう。
駐日アメリカ大使のラーム・エマニュエル氏は、日米同盟は安定したままであると確信していると述べた。エマニュエル大使は、「同盟と同盟の抑止力に貢献しているものがある」と語っている。
しかし、アメリカのシンクタンク、ウィルソン・センターでインド太平洋地域のディレクターを務める後藤志保子氏は、国内の政治的不安定に対処するために日本が内向きになることで、北朝鮮や中国からの脅威の高まりに対する地域の防波堤としての役割が損なわれる可能性があると警告した。
「日本が拠り所であり続けることが期待されていたが、選挙結果はそれを疑問視するものだった」と後藤氏は語る。さらに、アメリカの選挙を11月5日に控え、「日本とアメリカの結果次第では、この地域全体に大きな不確実性が生じるだろう」とみている。
(執筆:Motoko Rich記者)
(C)2024 The New York Times
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