政治と金問題より根本的な「自民党大敗の真因」 アジア地域で最も安定している政党のピンチ

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(写真:Toru Hanai/Bloomberg)

何年もの間、日本はヨーロッパやアメリカを席巻したポピュリズムの波に抵抗してきた。しかし、10月27日に行われた衆議院選挙で有権者が長年政権を担ってきた政党に大打撃を与えたことで、この地域で最も安定した民主主義国家の1つが、有権者の不満によってより混沌としたものに変わる可能性が出てきた。

「政治と金」ではない大問題

表面的には、「中道」が維持したように見えた。戦後ほとんど日本の政治を支配してきた自民党が衆議院で過半数を失ったとはいえ、自民党に次いで2番目に多くの議席を獲得した立憲民主党もまた、比較的中道的な政党である。

一方で、極左と極右の少数政党はともに議席を増やした。わずか1カ月前に自民党から首相に抜擢された石破茂氏は、自民党の惨敗を長引く政治資金スキャンダルのせいにしているが、有権者の不満はもっと根深いとアナリストは指摘する。

「過去30年にわたる停滞と生活水準の悪化、特に若者の不満がそこにある」と、元外交官で現在はキヤノングローバル戦略研究所で主幹務める宮家邦彦氏は語った。

宮家氏は、自民党政権はこれまで、賃金の停滞、労働力不足、急速な高齢化に対する有権者の不満を何とか抑えてきたと語る。だが今、日本には「終末の日が来た」と同氏は付け加えた。現状維持派の自民党は、そのことを知らされてしまったのだ。

「これは単純な政治資金スキャンダルではない」と宮家氏は言う。「これはもっと構造的で長期的なものだ」。

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