「重くて、遅い」パナソニックはAIで変貌できるか 18万人規模で導入し現場主導の企業文化を目指す

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「トップダウンの会社だと思っている人が多いかもしれないが、中に入ると現場主導の組織風土が根づいている。その最たる例が、トヨタ生産方式。現場主導でのカイゼン活動が日々行われている。これが生産現場だけでなく、トヨタ全体に浸透している」と指摘。「個人的な意見だが、現場主導によるカイゼンが、全社業績の利益を積み増す要因になっていると感じる」と続ける。

それに対してパナソニックグループには、現場から動かす風土や、失敗を恐れずに挑戦し、多少つまずいても、また起き上がる文化が醸成されていないと、自らを厳しく評価する。

経営トップに就任して以降、楠見グループCEOは、創業者である松下幸之助氏の言葉を引用しながら、社内意識の改革を図ってきた。

「1人ひとりが経営者という意識が浸透していない」

これも、パナソニックグループが、経営の根幹の1つにと位置づける「自主責任経営」という創業者の言葉をもとにしたメッセージだ。

松下幸之助氏は、「自主責任経営」において、社員1人ひとりの仕事への向き合い方を「社員稼業」という言葉で表現。1人ひとりが、1つの独立経営体の主人公であり、経営者であるという姿勢で仕事に取り組み、モノを見て、判断することを求めた。

現在も残る「上意下達」の文化は、それとは真逆のものだ。

常に最新のAI技術を活用

パナソニックグループは、積極的にAIを活用する企業の1つだ。しかも、グループ全体において、さまざまなAIを活用している。それが、「軽くて、速い」企業に転換するためのツールになると、楠見グループCEOは信じている。

グループ内では、日本マイクロソフトの社長などを務めた樋口泰行氏が率いる事業会社のパナソニックコネクトが、2023年2月からMicrosoft Azure OpenAI Serviceを活用した生成AI「ConnectAI」を先行する形で導入。同年4月には、ChatGPTを活用した「PX-AI」を国内9万人のグループ社員を対象に一斉導入し、同年7月には、GDPR規制がある欧州と、データ3法が施行されている中国を除く海外拠点にも展開し、約17万人が利用を開始した。

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