「重くて、遅い」パナソニックはAIで変貌できるか 18万人規模で導入し現場主導の企業文化を目指す
さらに同年8月には「GPT-4」にアップグレードし、同年10月には欧州でも展開。現在では、約18万人が活用する環境を構築した。2024年5月には画像や音声利用にも拡大し、同年8月に「GPT-4o mini」へアップグレードするなど、常に最新の技術を活用している。
なお、中国においては、グループ社員が別の生成AIを活用しているという。
今後は、事業部門ごとに社内データの活用やRAGにより、事業に最適化したPX-AIの利用を促進する。
PX-AIの推進役であるパナソニックホールディングス 執行役員 グループCIOの玉置肇氏は「樋口から、パナソニックコネクトが生成AIを導入するという連絡があってから数時間後には、楠見に対して、グループ全体でも生成AIを導入すると報告した。楠見の返事は、『それは当たり前だろう。さっさとやろう』という返事だった」と、導入に至るエピソードを明かす。
AIに対するパナソニックの基本姿勢「DAICC」
楠見グループCEOのAI活用に対する姿勢は、最初から前のめりだ。
ConnectAIやPX-AIが、業務の効率化という観点からのAIの活用であるのに対して、モノづくりのためのAIや、製品やサービスと融合したAIに関しても積極的に導入している。
例えばモノづくりのAIでは、開発部門において、GitHub Copilotをいち早く活用したほか、カリフォルニア大学バークレー校と共同開発したマルチモーダル基盤モデル「HIPIE(ヒピエ)」や、FastLabelとの協業による「Data-centric AI プラットフォーム」により、画像情報にタグやメタデータを付与するアノテーション作業の負担を軽減。開発の効率化を図ることができる。冷蔵庫にカメラを搭載し、収納された野菜の鮮度などを確認できるAIの開発が促進できるのだ。
さらに、ストッマクークとの協業によって、1000億パラメーターの規模を持つ、パナソニックグループ専用日本語大規模言語モデル「Panasonic-LLM-100b」を開発。パナソニックグループが保有する社内情報を追加事前学習させ、これをHIPIEに統合し、各事業会社におけるAIの開発を加速する環境も整える。
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