好景気だと?米国在住者が語る「物価高の厳しさ」 NYの平均家賃は約80万円、夜の街も閑散

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2010年代以降、大都市でジェントリフィケーションが相次いで起こり、その結果、家を失った人々はホームレスとなった。シカゴでも、ダウンタウンに程近いサウスループやウエストループというエリアで再開発が進んだ結果、街にホームレスが急増し治安が悪化した。明日が我が身、という不安の中、街を歩く日々である。

街は「テナント募集」だらけ

では、物価や家賃が上がる中、賃金はどうか。2022年8月、全米で最大規模のコメディクラブ「ラフ・ファクトリー」からコメディアンに向けた一斉メールが届いた。

「ラフ・ファクトリーでは近年の物価上昇を踏まえ、これまでのギャラから以下のような変更を行うこととしました。

平日:40ドル→50ドル
週末:70ドル→80ドル」

ギャラが上がるに越したことはないが、毎日出演してもせいぜいひと月で2000ドルの稼ぎ。家賃を払えば何も残らない。それでもたしかに数値で見ると「賃金は上昇している」と言える。40ドルから50ドルに上がったのなら「25%の上昇」だ。

アメリカでは、連邦政府が定めた最低賃金7.25ドル(1066円)に加え、各州や都市が独自に定めた最低賃金が存在しているが、2024年1月には、50州のうち22州で最低時給が引き上げられた。

もっとも高いワシントン州が16.28ドル(2393円)で、ニューヨーク州やカリフォルニア州が16.00ドル(2352円)と続き、シカゴのあるイリノイ州は14.00ドル(2058円)となっている。

私に限っていえば、家賃と物価の目まぐるしい早さでの上昇に、賃金の上昇は完全に取り残されている。それでも、クラブ側からすれば確実に出費が増えていることになる。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事