ワタミの日本サブウェイ買収で克服できる「弱点」 日本で3000店舗の展開に役立つワタミの強み

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そして3番目の強みとして日本の飲食市場の需要に対する理解力があります。

先述したようにサブウェイには需要のピークが昼に集中するという弱点があります。これは日本とアメリカの文化の違いが根底にあります。アメリカではディナーでサンドイッチを食べるのは普通なことであり、かつサイズも大きくて大丈夫です。

しかし日本人はサンドイッチは昼食メニューだという文化的な思い込みがあります。それも女性が主要な顧客ということでサイズはいわゆるハーフサイズを注文すればおなかいっぱいになる人が少なくありません。

この思い込みを変えていくためには、さらに日本の市場に根付いた商品開発が必要です。日本人の夕食に向いたサブウェイのメニューはどうあるべきなのかを、具材やサイドメニューの開発だけでなくそもそもの量の在り方を含めて検討する必要があるでしょう。この点はワタミの力がとても期待できる部分です。

ちなみにサブウェイの場合、モーニングのメニューがまだ普及していないのも弱点のひとつです。サブウェイでは店舗によってはより小さなサイズのサンドイッチをモーニングメニューとして提供していて、これは市場ニーズにはかなりフィットするメニューのはずなのです。

しかし現在はまだこれが店舗限定でしか提供されていません。たとえば東京にはサブウェイの店舗が59店舗あるのですが、モーニングセットを提供しているお店は22店舗だけです。

グローバルブランドが日本市場で成功するためには

サブウェイはこれまでグローバル戦略で進めてきたところから転換して、今後はローカル戦略を前提にワタミと手を組んだと考えられます。ですからメニューを日本向けに変えていくことで異なる時間帯ごとの需要を増やしていく戦略も採用される可能性が高いのです。これはワタミが得意とするところでしょう。

最後にそもそもの話をしますと、アメリカで成功している飲食店ブランドでも、日本で成功できるのは一握りです。グローバルブランドが日本市場で成功するためには、ローカライズが必須である場合が多いからです。

ポテンシャルがありながら、中くらいの成功で成長が止まってしまったサブウェイ。それが日本で再成長できるかどうか、ワタミが参画するという今回のニュースに期待をもちたいと私は思います。

鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表

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すずき たかひろ / Takahiro Suzuki

東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。

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