ユニクロ、店舗スタッフを変えた仕組み化の効果 6割のボリュームゾーンの従業員が自ら動くように
言われたことを受け身でやるのではなく、自律的に考え行動するようになり、モチベーションが上がったり、やりがいを感じたりする人も増えました。うまくいっている店舗の事例は全社で共有され、学び合うことでさらなる質の向上にもつながりました。
ユニクロの理念を「自分事化」する「仕組み」
おそらく、みなさんの中には「店長ならばともかく、店舗スタッフにしてみれば、『経営者マインドを持て』と言われるのは重荷では」と感じた人もいるかもしれません。
確かに、「究極の個店経営」は店舗スタッフが主役です。スタッフが主役といっても、スタッフにやる気がなければ実現しません。教育の仕組みなどで、モチベーションが高まり自律的に取り組んでいる人もいますが、一方で腰掛け的に働いている人がいないともいえません。「社員でない人にそこまで求めるのか」という声もあるでしょう。
社員ですら働くモチベーションはさまざまです。お金のための人もいれば、自分の夢のための人、スキルアップのための人もいるでしょう。非正規の方ならばさらに多様かもしれません。
もちろん、働くことを通じて自分の夢や理想を実現することが最も大切ですが、同時にユニクロの理念を「自分事化」してくれることが個人と組織が結びつきながら両輪で成長するには不可欠です。そのためにも「仕組み」が重要になります。
そのわかりやすい仕組みが教育であり、雇用体系です。店舗スタッフの正社員化を進めたのです。これまで非正規雇用が大半だった店舗スタッフを、「地域(リージョナル)社員」として正社員化する試みです。
具体的には2014年に日本のユニクロの店舗スタッフ1万6000人を地域社員に2〜3年で転換し、正社員を当時の3400人から約6倍の2万人に増やすという構想です。
地域に根ざした経営をするには、本当にお客さまと向き合う人でないとできない、正社員化によってコミットを高めたいと判断したわけです。
そのためには、待遇を高めて、人材の流出を防がなければいけません。すでにその時点で、少子高齢化で将来的に人材確保が難しくなるのは自明でした。当然、短期的には企業としてのコストは大きく増えますが、長期で考えれば、人材確保、採用・教育コストの抑制になり、メリットが上回ります。
この正社員の登用拡大によって、店舗のチームとしての一体感は非常に強まりました。やる気のあるスタッフにしてみれば自分の担当する部門で「経営者」として、大きなやりがいを持ちながら、自らのキャリアの未来も開けます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら