ユニクロ、店舗スタッフを変えた仕組み化の効果 6割のボリュームゾーンの従業員が自ら動くように
「全員経営」を掲げていても、ひとりも漏らさずに働く人すべてを意識づけるのは無理です。小規模の組織だと全員に機能する「仕組み」を求めがちですが、これも現実的ではないのです。
「普通」の6割の人にいかに働きかけるか
北海道大学の動物生態学者の長谷川英祐氏が提唱した「働きアリの法則」をご存じでしょうか? 働きアリの集団を観察していると、働き者が2割、普通が6割、怠け者が2割いて、たとえ働き者のアリだけ、怠け者のアリだけを集めても、また2対6対2に分かれるという法則です。
人間の集団においても全体の2割の人間が意欲的に働き(自燃性人材)、6割が普通に働き(可燃性人材)、残りの2割が怠け者(不燃性人材)になる傾向があります。ユニクロも例外ではありませんし、100人の組織でも50人の組織でも、この法則は当てはまります。
確かに、「仕組み」を定着させて効果を最大化させるには全員の心に火をつけられるのがベストです。ただ、「働き者」の割合を増やすのは簡単ではありませんし、資源も時間も限りがあります。仕組みを定着させるには、「普通(可燃性人材)」の6割のボリュームゾーンの人たちにいかに変わってもらうかに注力することが鍵となります。
もちろん、「怠け者」の2割の人にも働きかけますが、強く働きかけたところで、なかなか変化は見られません。一方、「働き者」の2割はこちらから強く働きかけなくても自発的に動いてくれる特性があります。自発的に新しい提案や変革を起こしてくれます。
ですから、この「働き者」の2割にはこちらから何かを働きかけるのではなく、一緒に「普通」の6割の人たちをいかに変えるかの仕組みを考えてもらっていました。
ユニクロの例からも明らかなように、ビジネスの根幹は「仕組み」です。いかに「仕組み化」して、特定のリーダーに依存しない枠組みをつくるかが、マネージャー以上の人の仕事です。組織の大小を問わず、「仕組み化」こそが全てです。
働いている人が多くなればなるほど「仕組み」の効果は発揮されます。ただ、多くなればなるほど巻き込むのが難しくもなります。「仕組み」をつくったところで、誰も乗ってこなければ意味はありませんが、現実的に全員を巻き込むのは至難の業です。
経営資源が限られた中で「仕組み」を最大化するには「普通」の6割の人にいかに働きかけるか、そして変えられるか。そこに注力するのが大きなポイントになります。
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