自動車学校でも省人化「AI教習システム」の必然性 指導員不足の解決を目指す新技術を体験した

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こちらは無線教習を行うための専用車。公道には出ずに場内を一人で運転して運転操作を会得する。指導員からは車載の無線機を通じてアドバイスや指示が受けられる
こちらは無線教習を行うための専用車。公道には出ずに場内を一人で運転して運転操作を会得する。指導員からは車載の無線機を通じてアドバイスや指示が受けられる(筆者撮影)

その確認データを見ると、筆者の何十倍も厳格に運転操作がチェックされていた。路肩からのスタート時、右側だけの安全確認だけでは不十分で、停止している路肩側の確認も必要であると減点。次にカーブ走行時、安全とされる速度から1km/hオーバーしていたことで減点。また、ウインカーの操作タイミングこそ正しかったが、その際にステアリングをほんの少し、ウインカー操作と逆の方向に舵をきったことがNG操作と判断され減点。

結果は素直に受け止めた。運転している本人の確認データで何度も見直せるから、これはもう納得するしかない。きびしすぎるような気もするが、不思議と腹落ちも早かった。なぜなら人(助手席に座る指導員)ではなく、AI(教習システム)が、客観的(映像や運転操作)に判断しているからで、ここを顧みて次からの運転操作に活かすことで、求められる安全運転へとまた一歩、近づける。

AIと指導員の共存が現状では最善か

同時に、指導員による指導のすばらしさも改めて発見できた。運転しているそばから、正しい操作の教習を適宜、受けられるし、なんならその前後の運転操作に対するアドバイスや、もっと楽に運転できる方法などベテランならではの極意も得られるからだ。現時点、そうしたアドバイスはAI教習システムからは得られない。

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よって、AI教習システムと指導員による教習は、併用するのが好ましいのではないか、これが体感取材を通じた筆者の感想だ。最初は指導員から、その後、身につくまでの復習はAI教習システム、そして最後は人/AI、どちらかを選択する、そんな流れが好ましいように思える。

わずか数時間かもしれないが、指導員不足という根幹の部分にもAI教習システムは貢献できるし、そもそもの運転操作を会得するという側面からでも集中的な反復ができることから上達が早まる、そんな副次的効果も期待できる。

将来的には、先進安全技術の体験会などにおける講師役をAI教習システムが担うことができれば、先進安全技術への正しい理解から、過信が抑制され、結果的に交通事故による被害の軽減効果が高まるのではないか。

現在、AI教習システムにできることは限定的で、運転免許取得にまつわる教習には適合していないが、社会受容性の向上と技術進化によって、AI教習システムが教習課程で用いられることにも期待したい。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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