ヤリス/ノート/フィットに透けるメーカー事情 3車に見た「トヨタ/日産/ホンダ」強みと弱み

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ハンドリングもクイックで、キビキビとしている。それでいて、燃費性能のカタログ値は35.4km/L(WLTCモード)と、3車の中でもっとも良い。さすがハイブリッドの元祖、トヨタのクルマである。

ノートは、エンジンの存在感が小さく、まるで電気自動車(BEV)のよう。

ノートのガソリンエンジンは発電のみに使われ、走行は電気モーターが担う(筆者撮影)
ノートのガソリンエンジンは発電のみに使われ、走行は電気モーターが担う(筆者撮影)

スムーズさと静粛性が印象的だ。ハンドリングは、もっとも鷹揚だが、操舵に対する反応が一定でわかりやすい。ただし、燃費性能はFFモデルで28.4km/L、4WDで23.8km/L(WLTCモード)と、ヤリスには届かない。

フィットは、ヤリスとノートの中間といったところ。モーター駆動とエンジン駆動の両方を上手にミックスしている印象だ。燃費性能は29.0km/L(WLTCモード)であり、実際の燃費もノートとそれほどの差はなかった。

ハンドリングも“スポーティなヤリス”と、“落ち着きのノート”の中間といったところだ。まとめると、スポーティなヤリスに、安定・安心のノート、そしてバランスの良さが光るフィット、である。

見えてきた、それぞれの強みと弱み

3モデルを比較試乗して感じた、それぞれの強みと弱みは以下のようなものだ。

ヤリスの強みは、長い時間をかけて磨きあげてきた遊星ギヤ式のハイブリッドの出来の良さにある。燃費が良いだけでなく、走りのフィーリングも良好だ。

車種数の多いトヨタだからこそできた、「スポーティで小さなクルマ」というとがったキャラクターもヤリスの強みだろう。

一方、ヤリスの弱みは、日本専用ではないため日本人の趣味嗜好と合致しているのかが微妙なところ。コンパクトカーのメインターゲットである女性に受ける顔つきとは、到底思えない。

鋭い眼光に大きなメッシュのグリルを持つヤリスのデザインは果たして(筆者撮影)
鋭い眼光に大きなメッシュのグリルを持つヤリスのデザインは果たして(筆者撮影)

また、スポーティを売りにするが、意外とユーザー層の年齢は高い。売れてはいるが、本来のターゲットにミートできていないといえるだろう。

ノートの強みは、日本専用車であること。ヨーロッパのように時速150kmを超えるような超高速域を狙う必要がないため、パワートレインやシャシーも日本の道路事情にフォーカスされており、それが功を奏している。

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