数学勉強したくなる!「グラフ」の"間違い探し" 子どもに勉強する意義を伝えるにはどうするか

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このグラフを見て、みなさんは違和感を持つことができるでしょうか?一見すると、普通の棒グラフですよね。

西岡壱誠 東大
(図:東大カルペ・ディエム作成)

これは、とあるアンケートの国際的な比較を示したグラフです。このグラフを作った人が示したかったのは、「ある問いに対して、『そう思う』と答えたC国の人の割合が、A国やB国の3〜4倍である」ということでしょう。

さて、みなさんはこのグラフ、正しいと思いますか?

たしかに、調査結果の数字で言えば、A国の4.3%、B国の5.7%に比べると、C国の15.9%は、「3〜4倍」であると言えます。しかし、ここで注意しなければならないのは、それでも約16%しかないということです。

東大 西岡壱誠
(図:東大カルペ・ディエム作成)

残りの約84%は「そう思わない」と回答しており、「そう思う」は少数派の意見であることがわかります。

グラフにわざと加工がされている

このグラフは、「そう思う」が大多数であるかのように、わざと「加工」がしてあります。どこに加工がされているのか、わかりますか?

答えを言うと、これはグラフの左側があえて消されています。グラフの軸を見てみると、一番左の数字が「80%」となっており、もっと左側にあるはずの0%〜80%分の「そう思わない」の部分が省略されています。80%以上の部分だけをクローズアップして、大きくしているわけです。

では試しに、軸の一番左を「0%」にしたグラフも見てみましょう。このようになります。

西岡壱誠 東大
(図:東大カルペ・ディエム作成)

先ほどと同じデータの、左側を表示した全体のグラフです。どうでしょうか?このグラフだと、0%からスタートしています。

こうすると、C国の「そう思う」と考える人の数がかなり少数派であることがわかりますよね。さっきはあんなに大きく見えたのに、このグラフだと少数派になってしまいます。

このように、軸のスケールや、グラフの一部分を切り取ることによって、印象が大きく変わってしまうわけです。小学校で習う棒グラフですが、グラフ全体の大きさが重要になることを理解していないと、簡単に騙されてしまいます。

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