『週刊東洋経済』編集部では1部・2部上場企業を対象に「経営トップの通信簿」と題して、経営トップが就任以来、どれだけ企業価値を落としたかでランキングをしてみた。
経営トップ就任時(上場前に就任していた場合は上場時)の時価総額と、直近の時価総額とその期間の配当総額との合計額を比較。企業価値が何倍になったかを「企業価値増大倍率」として計算し、企業価値の増加率(=[企業価値増大倍率−1]×100)で表示している。
就任時(もしくは上場時)と比べて企業価値が10分の1以下に低下した会社が9社、2割以下に低下した42社となった。
竹井博康氏がトップを務めるOakキャピタルは旧ヒラボウ。現経営陣が買収後、漁網から企業再生・育成へと事業を転換した。石川憲和氏が社長を務めるソフトバンク・テクノロジー(SBT)はソフトバンクの子会社で、EC(電子商取引)サイト業者向け運用代行が事業の柱。石川氏は富士写真フイルム(当時)から89年ソフトバンクに入社。常務取締役を経て、98年にSBTの社長に就任した。和田成史氏はオービックの資本参加を得て、企業向け会計ソフトを手掛けるオービックビジネスコンサルタントを創業した。
なお、企業価値増大倍率・増加率への寄与度が高い時価総額については、当然ながら株式市場全体の状況も影響を及ぼす。上場時に高値がついたり、株式市場で材料視され、業績に関係なく株価が上昇するようなケースもある。好業績を上げていても、相場全体が下降トレンドにあるため株価に直接反映しないこともある。
とはいえ、就任時の株式市場、その後の経済環境がどうあれ、時価総額を拡大させている経営者がいることは事実だ。企業価値の最大化を求める株主の期待に応えることは、経営トップとしての責務だ。
■次ページ以降にランキング表を掲載
・対象は1部・2部上場で1985年以降に社長(=代表者)就任、もしくは上場した会社。代表者の就任時は、現在の役職の就任時。たとえば、代表者が社長から会長に就任し、代表者を会長としている場合は、会長の就任時が代表者の就任時。
・企業価値増大倍率は、(11月24日時点の時価総額+社長就任後の配当総額)÷(社長就任時の時価総額)、企業価値増加率は(企業価値増大倍率−1)×100で算出
・時価総額は、社長就任の月の月末の時価総額、もしくは上場日の時価総額(上場以前に社長に就任していた場合)と、11月24日時点の時価総額を比較
・社長就任後の配当総額は、就任の翌期(上場前から社長に就任していた場合は上場の翌期)から直近決算期までの配当総額の累積。ただし、就任した(もしくは上場した)決算期に240日以上在任している場合は、その期の配当総額も加算
・代表者は社長、会長など、その会社の代表者。対象期間は時価総額の比較対象となった期間
(出所)『役員四季報』(小社刊)などのデータを基に週刊東洋経済編集部作成
※『週刊東洋経済』12月17日号の特集「ガバナンス不全症候群」では、さまざまな視点から日本企業におけるガバナンス(企業統治)の問題を分析。各種のデータやランキングも満載している。