総選挙を左右する?「テレビよりYouTube」戦略 Googleも積極的に後押しする「選挙系YouTube」
フェルドマン氏は「質の高いコンテンツをお勧めする」こともTrustのために必要だと強調していた。政治的な内容でも、良い動画なら積極的にお勧めする方針なのだ。また、質が低いもの、ヘイトのように社会的に問題のある動画はお勧めされない。YouTubeでお勧めされない動画は、存在しないも同然だ。
こうしたテクノロジーも駆使して、YouTubeを質の高い政治啓蒙の場としても広く使ってもらいたいそうだ。それがユーザー、視聴者、広告主にとって良いコミュニティになるとの考え方だろう。
韓国とインドネシアの例が示す通り、YouTubeが選挙に影響力を持ち始める流れはグローバルなものだ。若い人にメッセージが届く場としてのYouTubeは、日本でも総選挙の趨勢を決める重要なコミュニティだと言える。
テレビ局は半ば諦めモード?
だが気になるのは、日本の政治家がショート動画偏重でYouTubeを活用していることだ。そこで扱われるのは、プライベートな話題が中心。親しみを持ってもらうツールとして使っているように見えるが、それは若者たちを侮りすぎではないだろうか。若者が政治に関心が薄いというのはイメージにすぎない。むしろ関心が高いことが都知事選で示されたのだ。ネットだから柔らかい雰囲気を作ろうとするのは誤りだと思う。そうではなくなっていることを、フェルドマン氏は示してくれた。
もう一つ気になるのが、テレビ局が選挙報道を半ば諦めているように見えることだ。公示日に放送された情報番組で、ネットでの選挙情報を紹介しながら「我々は放送法があるので選挙期間中はあまり情報を伝えられない」とアナウンサーが発言していた。私は情けないと思った。
そもそも放送法は政治的公平を求めているだけで、選挙報道を禁じているわけではない。ある頃から、各党が選挙報道に「うちだけ時間が15秒短かった!」などとクレームをつけるようになり、各局で基準を作っていわば自粛したのだ。
選挙を報じるのはネットに任せていいとでも言うのだろうか? それはただの怠慢だろう。都知事選で石丸氏を軽んじ、安野氏は扱うこともしなかったことを悔しく思わなかったのだろうか。
だが、この「自粛」の傾向は変わらないのだろう。これからは選挙期間になると若者だけでなく国民全体がテレビよりネットを頼るようになるのだと思う。もはや民主主義を守るメディアはテレビではなく、YouTubeなのかもしれない。
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