1年で優勝、巨人・阿部監督の「若手を律する」凄み その手腕を、マネジメントの観点から考える

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また、安定して好成績を出しつつ、部下からの信頼もあつい課長であったが、部長は「ルールはルール」と課長の評価を落とした。その後、猛省した課長は遅刻を全くしなくなり、かつ期限ぎりぎりに資料を提出することが多かったのが一変。余裕をもって提出するようになるなど、さまざまな効果があったという。

部下を厳しく指導することが難しくなった今日この頃だが、もちろん適切な状況であれば、ハラスメントには該当しない。ひとりの弛みが他のメンバーに影響することもある。そう考えると、阿部監督の指導には、一定の効果があったのは間違いないし、むしろこの令和の時代にあって、勇気を出して指導できていると評価できそうだ。

若手のフォローやファンへの“直訴”も

そんな厳しさの一方で、優しさも見せたのが阿部采配だった。特に目立ったのが、高卒2年目の今シーズンにブレイクした浅野翔吾へのフォローだ。

浅野は優勝争いも佳境を迎え始めた8月、4月以来の一軍昇格を果たすと、骨折で離脱したエリエ・ヘルナンデスの穴を埋めるかのような活躍を見せた。浅野に対して阿部監督は「将来、チームが困ったときに打つバッターになってほしい」として、辛抱強く起用を続けた。

浅野が満塁のチャンスをつぶしてしまった試合後には、ベンチでフォロー。浅野のエラーから同点に追いつかれ、負けてしまった試合後には「積極的なミスだったら仕方ない」とかばい、チームメンバーが参加するLINEグループでも激励したという。

その他、チームの主砲である岡本和真への応援について、持ち味を生かすために「レフトへぶち込め」というコールから「ライトへぶち込め」へと変えるようファンへ“直訴”するユニークな一幕もあるなど、厳しさだけではない引き出しもあったのが、阿部采配の特徴だろう。

後編の記事ー巨人・阿部監督はなぜ「管理職のお手本」なのか 令和だからこそ輝く、厳しく優しいマネジャーーでは、阿部監督の「厳しさと優しさ」以外に特徴的だった采配を振り返っていく。

鬼頭 勇大 フリーライター・編集者

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きとう・ゆうだい / Yudai Kito

フリーライター・編集者。熱狂的カープファン。ビジネス系書籍編集、健保組合事務職、ビジネス系ウェブメディア副編集長を経て独立。飲食系から働き方、エンタープライズITまでビジネス全般にわたる幅広い領域の取材経験がある。

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